- 株式会社ミュゼプラチナム
- 人事部 次長
- 畠中 裕一
年間1,000人を「Web面接」で採用!全国171店舗のミュゼプラチナムを支える採用手法
〜面接の「日程調整」で応募者が離脱…。動画面接ツール「HARUTAKA」を導入し、面接の参加率を倍近くに向上させた、ミュゼの「録画で対面する」採用手法とは〜
店舗数・売上6年連続No.1(※)の美容専門脱毛サロンを運営する、株式会社ミュゼプラチナム。
※2017年7月調査時点 東京商工リサーチ調べ
同社は、北海道から沖縄まで全国171店舗を運営し、毎年1,000人を超えるサロンスタッフの採用を、本社の採用チーム6名だけで行っている。
そのため、以前は各メンバーが全国各地で行われる説明会や面接に飛び回る日々で、チームで情報を共有する場を持てず、採用活動の改善もほぼ出来ていなかったという。
さらに、応募者との日程調整に時間がかかることで、面接に至る前に辞退されてしまうという機会損失が課題であったそうだ。
そこで、場所と時間の制約なく面接を実施できる、動画面接ツール「HARUTAKA」を2017年8月に導入。
1次面接をすべてWeb面接とし、候補者に「録画」で質問に回答してもらうことで、採用メンバーが地方に赴くことなく、面接の参加率をほぼ倍増させることに成功した。
今回は、同社で採用チームのマネージャーを務める畠中 裕一さんと、現場で採用面接を担当している齋藤 昌代さんに、ツール導入の背景から実際の活用法に至るまで、お話を伺った。
全国171店舗を運営するため、年間1,000人以上を通年採用
畠中 私は2012年にミュゼプラチナムに入社し、新規事業の立ち上げに携わった後、3年ほど前に人事に異動しました。
当初は、組織周りに関わっていたのですが、店舗数が増加していく中で採用が回っていない状況だったので、採用をメインでみるようになりました。
齋藤 私はもともと、現場で10年ほどエステティシャンのお仕事をしていました。その後エリアマネージャーを経て本社に配属となり、2016年から採用チームに所属しています。
現在、採用チームは6名体制で、私は主に採用面接を担当しています。
▼左:齋藤さん、右:畠中さん
畠中 ミュゼプラチナムは、全国171店舗(※2018年4月末現在)を展開しており、サロンスタッフの在籍数も3,000人を超える規模になっています。
会員数も年々増加していく中で、お客様に変わらぬサービスを提供するために、毎年1,000人ほどの採用が必要です。
ですので、年間を通して採用活動を行っています。より多くの候補者の方とお会いするため、以前は採用チームのメンバーが全国各地に飛び回っているような状況でした。
日程調整に時間がかかり、応募者の2割しか面接に進まないことも
畠中 実際に、私が採用チームをみるようになった当時、打ち合わせをしようと思って採用チームのデスクに行っても、ほぼ誰もいないことがよくありまして。(笑)
というのも、北海道から沖縄まで全国に店舗があり、毎週どこかしらの地方都市で説明会や面接を行っていたため、月1〜2回くらいしか全員が集まるタイミングがなかったんです。
そのため、当時は昔からやってきたことをただ繰り返すだけで、体力的にも辛いですし、こんなに効率の悪いことはないな、と思っていました。
また、とにかく応募の数が多いので、説明会や面接にかかる工数だけでなく、その日程調整にも時間がかかっていました。
そのせいで、ご応募いただいた後、我々がお会いする前に他社から内定が出てしまうケースもありました。ひどい時だと、応募者のうち約2割の方しか面接に進まなかったこともあったんです。
そこで、この応募から面接までのリードタイムをできる限り短くできないかと考えていた時に、たまたま、とある動画面接ツールを見つけまして。
早速、ツールの提供会社さんにお話をお伺いしてみて、Skypeなどのオンライン面接ではなく、「録画」による面接ができるということに利点を感じ、2016年に導入することにしました。
実際に1年ほど運用してみて、「地方に行かずに採用面接が可能になった」という大きなメリットがあった一方で、必ずアプリをダウンロードしてもらう必要があったため、ここが新たなハードルになってしまったんです。
そこで2017年8月から、現在も活用している動画面接ツールの「HARUTAKA(ハルタカ)」に移行しました。
1次選考は「Web動画」で!「録画で対面する」採用手法とは
畠中 HARUTAKAは、場所や時間の制約なしで、録画で面接を受けることのできる動画面接ツールです。
弊社の採用プロセスは、キャリアと新卒の2つに分かれていますが、基本的にはどちらの場合も、1次選考でこの「録画面接」を受けていただきます。
面接までの流れとしては、まず応募の翌日に、メールで録画面接のURLをご案内しています。応募者の方は、そのURLにアクセスしていただくと、Web上で面接を受けることができます。
Web面接では、こちら側であらかじめ用意してある「面接風の」録画に合わせて、面接官の質問に回答いただく様子を録画していただきます。
▼実際の「録画」によるWeb面接の画面
各質問には目安の回答時間を設定しているので、それに合わせてご自身で1つずつ撮影していただきます。
ですので、テキストの質問に対して一方的にお話していただくというよりは、「録画で対面面接」をしているような感じですね。
そして、採用担当者は録画に目を通した上で、もう少し詳しく確認が必要な場合には、直接その候補者の方にお電話をしています。
齋藤 正直、録画面接を導入すると言い出した当初は、実際にお会いできずにどうやって決めるんだろう…とすごく不安だったのですが(笑)、慣れるとむしろ良いことばかりですね。
特に、日時調整の手間が圧倒的に減りました。
以前ですと、応募から面接までのリードタイムが約1ヶ月かかっていましたが、今は応募した翌日にWeb面接をご案内しているので、2〜3日で完了しています。
畠中 その結果として、課題であった面接への参加率は、ツール導入前に比べると倍近くに上がりました。
さらに、リスティングなどのWeb広告を活用して求人にも注力しているので、応募数自体も順調に増えてきています。
そのため、工数を増やさずに、より多くの候補者の方に会うことができていますね。
チームのコミュニケーション量が増え、PDCAを回して業務改善
畠中 また、地方に行くことなく面接を行えるようになったことで、チーム全員で集まることができ、コミュニケーションもスムーズになりました。
採用チームでは、「求人出稿」「応募者の対応・管理」「採用面接」と、役割が大きく3つに分かれています。
以前ですと、各自が週3〜4日ほどバラバラに出張していたので、チームの全体共有の場がほぼなかったんです。
そのため、例えば求人出稿を担当するメンバーは、「実際に面接に来る方がどんな思いで応募しているのか?」といったことがわからず、求人広告の改善もできませんでした。
それが今では、毎日朝会をして「最近、こういう応募者が多いです」「この求人媒体が良かったよ」といった共有やフィードバックをお互いにしています。
こうした情報共有の場があると、お互いの業務理解が深まり、チームとしてのPDCAも回せるので、業務の改善スピードが早くなりました。
齋藤 さらに、以前は常に面接が1対1だったので、「AさんとBさんのどちらが良いだろう?」と悩む場面で、資料のメモを見るしかありませんでした。
そうすると、面接官によって「いいな」と思うポイントも違ってくるので、評価の軸を決めていても、比較検討が難しい部分がありまして…。
そうした場合にも、録画であれば、志望動機を語る部分を見比べたりして、その場で複数人で討論できるので、以前よりも評価のブレが減りましたね。
「対面ではない難しさ」を乗り越えるために
齋藤 一方で、「対面ではないことの難しさ」も、やはり感じる部分はあります。
例えば、お仕事をする上での決まりごとや、必須条件といった「必ず目を通してほしい箇所」の案内をしても、サーっと流し見して終わってしまう、といったことが時々ありまして。
顔を合わせていない分、「言った言わない」「聞いた聞いてない」みたいな行き違いが生まれやすいので、そこは質問の仕方やチェック項目の内容を変えてみたりして、試行錯誤している段階です。
また、やはり実際の姿を見られないと、面接中の相手の反応が良くわからないので、候補者の方は「これで良かったのかな」「なんで内定もらえたんだろう」という不安を感じられるようなんですね。
こうした不安感を抱いたまま入社を迎えてしまうと、その後のモチベーションや定着率にも影響してきます。
そこで、「ここが良かったです」「こういう風に頑張ってほしいです」といったコメントをつけて、内定を出すように変えました。
さらに、キャリア採用であれば前職の経験などで、ある程度はジャッジできる部分もあるのですが、新卒採用は特に、動画だけで判断するのは難しいですね。
と言うのも、学生さんは学校で面接の練習をすごくされているので、とても立派に志望動機や自己PRをしてくれます。
ですが、実際にお会いしてお話してみると、少しコミュニケーションが苦手だったり、録画とのギャップがある場合があるんです。
なので、新卒採用では、1次選考のWeb面接の後に対面での2次選考を実施し、なるべくお互いにミスマッチが起きない採用を目指しています。
会社の理解度を高め、採用の「質」を強化していきたい
畠中 こうして、採用業務の効率化や候補者の増加といった面では成果も出てきましたが、今後は採用の「質」の部分をさらに強化していきたいと考えています。
そこで、今、具体的に考えていることが2つあります。ひとつは、以前に実施していた地方での会社説明会を「Webセミナー」で復活させる、ということです。
というのも、録画面接の導入と共に会社説明会を廃止したことで、以前よりも会社への理解度が落ちてきていると感じることがあります。
ですので、Web上の録画面接とも親和性の高いWebセミナーでの説明会を開始しようと、現在準備を進めているところです。
もうひとつは、より採用の質を高めていくために、ケース面接を取り入れようと考えています。
例えば、「お客様が店舗にいらっしゃいました。この時に、あなただったらどう対応しますか?」といったような質問を取り入れることで、接客業に必要な状況判断の能力や、応対のスキルを動画で見られるようにできたらと思っています。
まだアイデアベースではありますが、今後も採用の効率化と質の両面を高められるように、色々なことを試していきたいですね。(了)