- 株式会社ヒトメディア
- CEO Div. HRteam Leader
- 小山 清和
「mitsucari」で「社風」を見える化すると採用が変わる?応募者と企業の相性を測定
今回のソリューション:【mitsucari/ミツカリ】
〜人口知能を使った転職マッチングサービス「mitsucari」で「会社のカルチャー」を可視化することで、互いにマッチする人材の採用に役立てている事例〜
会社は人が作るもの。人材の流動性が高まる今、採用は企業にとって非常に重要だ。しかし、「辞めない」人材を採用することは、そう簡単ではない。
ここでヒントになるのが、教育・異文化領域のインキュベーターを主事業とする株式会社ヒトメディアで採用を担う小山 清和さんの、「カルチャーフィット採用」という試みだ。
小山さんはこれまでの経験から、社風、つまり会社のカルチャーにフィットした人を採用することが、会社で長く活躍できる人を採ることにつながる重要な要素のひとつだと実感したそうだ。そしてその実現のために導入したのが、株式会社ミライセルフが提供する「mitsucari(ミツカリ)」だ。
mitsucariは人工知能による人材マッチングサービスで、従業員と応募者が同じクイズを受けることで、両者のマッチングを判断することも可能だ。小山さんに、「カルチャーフィット採用」という考えに至った背景と、mitsucariの活用法を伺った。
▼「クイズ」を通して候補者と企業をマッチングする「mitsucari」とは…
2ヶ月間、応募ゼロ!大苦戦した半年間を経て、今がある
ヒトメディアに入社するまでに、小売、ソーシャルゲーム、映像制作など、様々な業界で人事を経験してきました。当時の弊社は、社員30名ほどに対して採用をメインミッションとするメンバーは誰もいませんでした。まさに立ち上げといった形だったのですが、最初は本当に大変でしたね。
今だから言えますが、最初の半年はまったく実績が出せず、2ヶ月間まったく応募がないこともあるぐらい、壊滅的な状況でした。
ヒトメディアはBtoBの事業がほとんどで事業も分かり辛く、創業から10年経っていてスタートアップでもなく、資金調達などもしている訳ではないので、基礎的な採用力は決して高くはなく…。採用においては、むしろネガティブなことが多い会社でした。
自分自身もネガティブになってしまったこともありましたが、「それじゃダメだ」と何とか踏みとどまって試行錯誤した結果、少しずつ実績を出せるようになりました。
※詳しくは、前回の記事をどうぞ
「媒体特性」がカギ!2ヶ月応募ゼロの企業が、1年で6名のエンジニアを採用した方法
採用で重要なのは「人数」よりも「長く活躍してもらえること」
現在はWantedlyなどを中心に採用活動を行っていて、この半年で6名のエンジニアが入社しました。
ただ、「採用実績」というと内定や入社数に注目してしまいがちですが、それだけではダメだと思っています。やはりできるだけ、長く活躍していただける方を採用したいですよね。今後は数だけでなく、そちらをよりはっきりと意識していきたいと考えています。
弊社で採用しているのは主にエンジニアですが、特に流動性が激しい職種なので、そもそも「絶対に辞めない」ということはありえないと思います。
ただ、長く在籍してもらうことは工夫次第で何とかなるのではと考えており、考え付いたのもののひとつが、「社風や価値観が合っている人を採用すること」でした。
もちろんスキルはあったほうが良いのですが、会社のカルチャーにフィットしなければ、活躍出来ないケースも多いです。逆に入社時にスキルが足りていなくても、入社後に大きく成長することもあります。
実際に弊社では、「実務未経験」のエンジニアを採用し、今ではバリバリ活躍してもらっている事例があります。そこで経験の有無に関わらず、自社のカルチャーに合ったメンバーを採用すれば、ヒトメディアで長く活躍できるのではないかと考えました。
社風やカルチャーを可視化する、「mitsucari」との出会い
ただ同時に、「カルチャーって具現化出来ないだろうか」って思ってたんですよ。
「社風に合う」って、曖昧ですよね。応募者からすれば、「社風に合わない」という理由で不採用になったら、納得できないじゃないですか。採用は双方がフラットな関係だと思うので、そこをもう少しフェアにできないか、ということをずっと考えていました。
そんなときに出会ったのが、「mitsucari(ミツカリ)」というサービスでした。全48問のクイズに答えることで、その人のキャリアにおける志向や、パーソナリティなどがわかるツールです。
運営元のミライセルフ代表の表さんに、「会社と応募者のカルチャーをフィットさせるものなんですよ」と紹介していただいて、まさに自分が求めていたサービスだと感じましたね。
社内メンバーの「志向性」がはっきりと見える化された
そこで、まずは弊社の開発メンバーの中でも入社時期などを考慮した10名以上に、mitsucariの診断を受けてもらいました。
よくある「適性検査」ですと時間がかかるものも多いですが、mitsucariはSNSと連携させればすぐにテストを始められます。20分もあれば終わってしまう手軽さもあって2日ほどで、依頼したメンバー全員に受けてもらうことができました。
▼実際の「クイズ」の一部
すると、面白いことにメンバーに志向性に傾向がはっきりと出たんです。mitsucariの結果は大きく3つに分かれており、「キャリアタイプ」「パーソナリティ」「スキル」となっています。
▼「mitsucari」の分析結果(内容はイメージです)
今でも特に重視しているのは「キャリアタイプ」になるのですが、弊社の場合は入社時期に関係なく、重要視している点がほぼ同じと、傾向がはっきり出たんです。
これまではあくまでも感覚的なものでしたが、何だかんだでやはりカルチャーに合う人材を採用してきてはいたんだなと感じました。まだ導入をしてからの期間が短いため言い切れない部分はあるかとは思いますが、mitsucariを使ったことで、これまで目に見えなかった「社風」が可視化されたんです。
求職者と社員のスコアを、面接時に見せ合ってフラットに話す
この結果をどう採用に活かしているかというと、応募者の方にも、社員が受けたものと全く同じテストを受けていただいています。そのほか、Wantedlyでは「カルチャーフィット採用」という募集掲載し、カルチャーフィットを強く打ち出していきました。
▼実際のWantedly上の募集ページ(詳しくはこちら)
そして実際に面接の場では、より相互理解を深めるために、応募者の方のスコアと弊社の平均値をお見せしながら話をしています。
mitsucariはもともとは、従来の適性試験のように、応募者の足切りや社内におけるメンターの決定に利用することを想定していたようですが、弊社ではちょっと違う使い方をしています。
入社後におけるミスマッチは、結局のところ多くの場合、情報不足から起こることだと思っています。応募者の方の価値観が社風と異なっていても、それをお互いに知って納得した上で入社していれば、それはミスマッチではないですよね。
そう考えて、応募者の方のmitsucariの結果を見ながら、「弊社の社風はこうですが、あなたもそうみたいですね」、あるいは「弊社とあなたはこう違うみたいですね」というコミュニケーションをしています。
▼候補者と社員のマッチングも診断できる
こうすることで面接でのコミュニケーションがより深まりますし、仮にご縁があったとしても、なかったとしても、結果に対してお互いに深い納得感を得ることができています。
特に新卒採用でこそ、価値観で判断することが必要
個人的にはこのような採用手法は、新卒採用にこそより合うのではと思っています。新卒は、実務経験がないことが前提のため、実務面だけでの判断は基本できません。むしろ今後の成長に期待する部分が多いと思います。
それに対して、価値観やスタンスのようなものは、簡単には変わらないですよね。そうであれば新卒採用では、特にそういった点を重視して見るべきなのではないか、と思っていますね。従来の適性検査の様な足切ではなく、自社で活躍できる価値観やスタンスを持っているかを引き出してくのが良いのではないでしょうか。
これまで皆が求めていた「価値観の可視化」が実現
今はこのカルチャーフィット採用を始めて2ヶ月ほど経ちましたが、応募も来ていますし、実際にmitsucariのスコアをお互いに見せ合って話し合った結果、内定まで進んだエンジニアも出てきています。
今後もこの取り組みは続けていくつもりです。もちろん技術やスキルは大切ですが、社員が活躍していくためにはカルチャーも大切ですし、それに合わないとチームは作れません。
そういった意味で、価値観のマッチングは皆が求めていることだと思いますが、それを具体的に目に見える形にする方法はこれまでありませんでした。面接やイベントで、感覚的に判断するしかなかった。
mitsucariは、それを表現してくれる手段のひとつです。今後はより多くの企業で、このような手法が取り入れられていくといいなと思っています。弊社としても「カルチャーのマッチングを重視している」ということを、より多くの方に伝えていければなと思っています。(了)