• 株式会社うるる
  • 取締役CTO
  • 長屋 洋介

Google BigQueryで13万人超の登録者の行動を解析し「在宅ワークを当たり前に」

今回のソリューション:【 Google Big Query/グーグルビッグクエリ】

〜ユーザー行動を柔軟な切り口で定量分析することを可能にした「Google BigQuery」の使い方〜

株式会社うるるが運営する在宅ワーカーのためのお仕事マッチングサイト「シュフティ」は、同社の「在宅ワークを当たり前にしたい」という想いから始まったクラウドソーシングサービスだ。現在は登録ユーザーが13万人を突破し(2015年6月5日時点)、順調に成長を続けている。

同社では、シュフティを日々当たり前に使ってもらえるサービスにするために「ユーザーとしっかり向き合う」ことを重要視し、日々サービス改善を続けている。そこで重要になることのひとつが、ユーザーの体験を定量分析するデータ解析だ。よりフレキシブルな切り口で解析を行うために、同社が導入したのが「Google BigQuery(グーグルビッグクエリ)」。CTOを務める長屋 洋介さんに、その導入背景と活用法について聞いた。

「在宅ワークを当たり前にしたい」という想いから始まった会社

弊社はそもそも、「在宅ワークを当たり前にしたい」という想いから始まった会社です。その一環としてクラウドソーシングの事業を展開しており、それがシュフティです。在宅で簡単にできる仕事をインターネット上でマッチングしており、約14万人弱の方にご登録頂いています。内職やパート・アルバイト、派遣などに代わる新しい働き方を、選択肢として提供したいという想いがあります。

共働きが当たり前になりつつある昨今、すごくスキルがあるわけではないけれど働く意志はある方は一定数いらっしゃいます。例えば小さなお子様のいらっしゃる主婦の方などです。そういった方々にお仕事をしていただくことは、人口の減少が進み、労働人口が足りない日本の未来のためにも非常に重要なことだと考えています。

より一層ユーザーと向き合うことがサービス改善には必要

シュフティが他のクラウドソーシングサービスと違う点は、「誰でもできるお仕事」の提供を目指していることです。例えばパソコンをお持ちでない方も、スマートフォンだけでお仕事ができるような形も提供しています。仕事をすることを手軽にして、例えば今ソーシャルゲームをしているような隙間時間で「ちょっと稼ごうかな」と思って頂けるようになったらいいな、と。

このような日々当たり前に使われるサービスにするためには、しっかりユーザーと向き合わなくてはいけません。それにはまず、今使って頂いているお客様に満足していただくことです。まだまだその意味では不十分だと認識しています。もっと的確に、早くお客さまのニーズに応えて、より一層使いやすいサービスにしていきたいと思っています。

よりフレキシブルな数値分析を求めて、Google BigQueryを

サービス改善にはやはり、ユーザー行動を分析するデータ解析が非常に重要です。仮説検証する時には、データの裏付けがほしいですよね。そのために解析基盤を構築しようという話になり、選択したのがGoogle BigQueryです。

導入前から、fluentdでアクセスログを収集したり、Treasure Dataを利用してお試し分析を行ったりしていました。ただ、あまり大規模には行っていませんでしたね。データ解析を気軽に行える仕組みを用意することで、解析の心理的なハードルを低くする。結果として、PDCAのスピードが上がり、改善を早くお客さまに届けていく。このような目的から、今回の施策に踏み切りました。今年の3月のことです。

BigQueryを使った解析基盤の構築には弊社のエンジニアが1人手を挙げて、1人で比較検討も含めて1週間程度で作ってしまいました。 「めっちゃ簡単ですね」「おもしろいですよー」とか言いながら、ばーっと作っていましたね。

「性能とコストのバランス」でBigQueryを選択

まず最初に、同種のサービスを比較検討すること始めました。主に次の3点で比較しています。

・ 構築の手間

・ パフォーマンス

・ コスト感

最初の検討タイミングで、構築・運用の手間が圧倒的に大きい Hadoopは選択肢から外れました。我々のようなベンチャーには、どんなにコストメリットを得られるとしても、立ち上がりに時間のかかる手法は向きません。

次のステップでは、3つの解析に特化したクラウド型のデータ分析ソリューションとして、Amazon Redshift、Treasure Data、Google BigQueryを比較検討しました。

Amazon Redshift は、パフォーマンスを上げるためにはチューニングが必要そうだ。ということが分かり、玄人向けとの結論から導入は見送りました。Treasure Data、BigQueryで、性能・手間に大きな差はありませんでしたが、コストが決め手となりBigQuery の導入を決めました。日々大量の解析クエリを発行するわけではない我々にとって、データを貯めておくコストが安く、解析ごとに課金されていく仕組みが丁度よかったのです。

検証の中で爽快だったのは、BigQueryの速度です。大量の対象データであっても、Google 並列処理技術のお陰で、短時間で結果が返ってきます。気持ち良いですよ。

よりフレキシブルな解析を可能にしたBigQuery

結果的には、今まではできなかったよりフレキシブルな解析を簡単に行うことができるようになりました。欲しいデータに応じてSQLっぽい命令文を書くだけなので、データベースが扱える人であれば、誰でも使えると思います。具体的には、「ページAで離脱した人が何日以内に戻ってくる数字」を出したい、というような解析が簡単に実行可能になりました。

導入後、例えば「退会ユーザーの動向を探る」といった検証も行いました。そこでわかったのは、継続ユーザと退会ユーザでは検索機能の利用率に10倍の差があることです。そこで、退会する有料ユーザーは検索機能を上手く使えていないので、この点を改善していこうという企画が立ちました。このように数値に基づく仮説検証が可能になったことで、今まで以上に細かい定量的な解析ができるようになりました。

定性的な分析も重要。今後もより一層在宅ワークを広めていく

このように、課題を数値に置き換えて行う分析はBigQueryによって強化されました。ただ今後も、定性的なインタビューなども継続して行っていきます。結局、お客さんの声を聞かないとわからないこともありますよね。定性的な話をしていく中で定量的な分析の切り口が見つかることもあります。どう数値を分析したらいいのかを理解するために、今後のお客様の声に耳を傾けていきたいと思っています。

お客さまのニーズに応え、サービスを改善しつづけていくことが、より多くの人に働く機会を提供することに繋がると考えています。シュフティを利用することで、日々の生活が少し豊かになるような未来。そんな皆様に愛されるサービスを目指しています。

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