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「二刀流」のbot活用!効率と利用率を上げる、新しいカスタマーサービスの在り方とは

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〜「問い合わせの削減」だけがbotの活用方法ではない!「bot ✕ 人」でユーザーのサービス利用を促進する、新たなbot活用術を大公開〜

チャットボットは、人の質問にプログラムが自動で回答する「自動会話システム」だ。

その活用は、多くのお問い合わせに応対するカスタマーサポートの領域でも進化を続けている。これまでオペレーターが行っていたサポート業務をボットに任せることで、組織の生産性向上に繋がるためだ。

「仕事を依頼したい人」と「仕事をする人」をオンラインでマッチングするプラットフォーム「ランサーズ」を運営する、ランサーズ株式会社。

▼日本最大級のクラウドソーシング「ランサーズ」

同社のカスタマーサービス責任者の冨樫 謙太郎さんは、「AIを用いたbotは単なる効率化だけではなく、ユーザーのサービス利用を促進させる利用方法があるはず」と語る。

同社では、問い合わせ対応をbotで自動化するだけに留まらず、サービスのWebページとbotを組み合わせることで、ユーザーの利用率を著しく向上させたという。

今回は、そのbotの用途から効果まで、冨樫さんに詳しくお話をお伺いした。

(※今すぐ試せる便利なチャットボットサービスについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。)

「事業の成長にもコミットする」カスタマサービスが重要

私はコールセンターのオペレーターからキャリアをスタートし、事業会社のカスタマーサービス責任者などを経験後、ランサーズに入社しました。現在は、カスタマーサービスの責任者を務めています。

コールセンターで就業していた時は、24時間以内の回答率などが主なKPIでした。ですが、事業会社のカスタマーサービスを経験したことで、目線が大きく変わったんです。

サポートしたユーザーのサービス利用率向上や、機能改善によるサービス利用率の向上など、「事業の成長にもコミットする」カスタマーサービスが必要だと感じていました。

ランサーズでは、「個のエンパワーメント」というミッションと、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンを掲げています。

ですので私は、「ランサーズを通じて、どうやってフリーランスの方々に自分らしく働けるプラットフォームを提供できるか?」ということを、ずっと自問自答していますね。

botは「単なる効率化」ではない。事業を拡大するための打ち手

その第一歩は、「仕事を発注するクライアントに安心して仕事を依頼してもらい、フリーランスの方が仕事をするチャンスを増やす」ということです。

私が入社した2013年頃、カスタマーサービスチームは5名でしたが、そこからクライアントに電話をかけてプロダクトヒアリングを行ったり、様々なことに挑戦してきました。

そして今、ミッションとビジョンを実現するために最も注力しているのが、チャットボットの活用です。

現在、私のチームは「カスタマーコミュニケーション」というチーム名のもと、「クライアントのランサーズ利用率を向上させる」「チームの生産性を向上させる」という、2つの課題解決に取り組んでいます。

botの活用というと、「生産性向上」というイメージですが、クライアントのランサーズ利用率の向上にも十分貢献できるのではないかと考えていました。

そこで、現在はbotを2つの用途で利用しています。まずは「問い合わせ対応を効率化する」こと、そしてもうひとつが、botで効率化できた時間を活用し、「クライアントのランサーズ利用率をbotで向上させる」ことです。

蓄積された問い合わせデータを駆使して、人の工数を削減するbot

問い合わせ対応を効率化するためには、ユーザーがWeb上で質問すると最適な回答を提示してくれるbotを使っています。 これにより、生産性向上はもちろんのこと、ユーザーの問い合わせのハードルを下げることができます。さらに、ユーザーの課題をより早く解決することが可能になります。

▼問い合わせフォームにbotを用意し、リアルタイムに対応

例えば、依頼した仕事をキャンセルしたい場合があるとします。それをユーザーがチャット上で尋ねると、botがリアルタイムで「依頼した仕事のキャンセル方法」や「仕事を依頼しても提案が集まらない場合」などの回答を提示してくれます。

もちろん質問の中には、今のFAQだけでは回答できない問い合わせも数多くあります。そのような場合は、メール窓口に速やかに繋がるような設計にしています。

▼問い合わせが解決しない場合は、メール窓口に繋がる

このbotは、「AI Messenger(エーアイメッセンジャー)」というサービスを利用して実装しました。本来なら、チャットボットをゼロから開発する必要があるのですが、AI Messengerを利用することで、簡単に仕組みを作ることができます。

最初はどうやって設計したらいいのかもわからなかったので、FAQデータを全て投入して様子を見ながら、AI Messengerの方とやりとりをしつつ、動かしていました。

初期はbotの回答精度がとても低いのですが、データを貯めないことには良い「返答」もできません。そこで、毎日全ての問い合わせをチェックし、必要な回答を追加しています。

この仕組みを導入してから、botで「回答精度が高く、削減が可能なお問い合わせ」と、「回答精度が低く、人でなければ解決しないお問い合わせ」があることがわかりました。お問い合わせ内容によっては、2ヶ月で50%以上の工数を削減することができたケースもあります。

効率化した工数を、ユーザーの利用率を高める施策に活かす

そして、このように効率化できた時間を使って、「クライアントのランサーズ利用率をbotで向上させる」ことを目的とした施策も実施しています。

対象は、「ランサーズで仕事の発注を検討している」クライアントです。

インターネット上で仕事の発注をするなんて、未体験の方がほとんどです。そこで、「クライアントの発注に対する疑問や悩みを相談できる窓口を提供することができれば、サービス利用率が上がるのではないか?」という仮説を立てました。

具体的には、サービスサイト内に「お仕事依頼コンシェルジュ」という専用ページを設け、ページ内に、チャット形式で相談ができるbotを用意しました。

▼専用ページ内に、手軽に相談できるbotを用意

botサービスのリリース時は、実は「人」が相談に対応していました。その結果、利用率は向上したので、今では冒頭で「bot」、そして途中からは「人」がご案内することで、お仕事を発注するクライアントの疑問や不安、悩みを解消できるような設計にしています。

具体的な相談内容としては、例えば「相場」に関するお問い合わせがあります。

仕事の発注を検討しているクライアントは、依頼するお仕事の「金額相場」が不明なため、利用を躊躇したり、意図せず低額で発注してしまうことがあります。この問題の課題解決として、botを使って適切な相場をご案内できるようにしました。

記事制作の仕事を発注する場合には、botから「発注する記事の文字数・納期・記事のジャンル」などを聞かれます。それらに対して1つひとつ答えていくと、発注する記事の相場をbotが自動で回答してくれるんです。

▼金額相場を決めるための情報を、botがヒアリング

より詳細な相談は、カスタマーコミュニケーションチームのメンバーがその場でチャットサポートするなど、万全な状態にしています。結果として、この施策でユーザーの利用率を大幅に向上させることができました。

今後も「日々の運用」を大切に、botを改良し続けていく

「問い合わせの削減」にしろ「サービス利用率向上」にしろ、botの導入には、「技術的な要素」と「毎日の運用」が最も重要です。

「技術的な要素」で言えば、botの導入や設計、施策を実施するにあたり、AI Messenger社の設計者およびエンジニアを1名ずつアサインしていただきました。

導入前の入念なミーティングはもちろん、導入後の現在でも、担当者と毎週ミーティングを実施して、施策の効果や改善案などを設計段階から一緒に話し合っています。

▼bot導入時に作成した設計図(※画像は編集部作成)

「問い合わせ削減」においては一定の効果を出すことができましたが、その範囲は限定的ですし、「クライアントの利用率向上」に関しても、施策が即座に数値に影響することはありません。

botの運用は、全ての問い合わせのデータの確認や、施策の効果の分析・検証など、日々の改善をしっかりと続けることで初めて、成果が出る印象ですね。

今後も毎日の運用を大事にして、「クライアントのランサーズ利用率をbotで向上させる」ケースをひとつでも増やしていきたいと思います。(了)

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