- ジープラ株式会社
- デザインプロセクション アートディレクター
- 磯貝 紀明
メール不要!イラスト制作のやり取りを完結する「神ツール」 〜アートディレクター編〜
今回のソリューション:【Save Point/セーブポイント】
グリーとポリゴンマジックの共同出資会社として立ち上がり、ソーシャルゲームの運営・開発を行うジープラ株式会社。同社が過去に抱えていた課題が、1体のキャラクターを外部の制作会社と共に完成させるまでに発生する、大量の画像データの受け渡しとそれに伴うコミュニケーションだ。
以前は主にEメールを利用していたが、最新のデータの所在が分からなくなったり、やり取りの煩雑化が避けられない状態だったという。
そこで現在、同社が活用しているのが、イラスト制作事業を展開する株式会社MUGENUPが2015年に新規リリースしたサービス「Save Point(セーブポイント)」だ。現場での経験に基づいて開発されたツールだからこそ、イラスト制作における数々の課題を解決する「神ツール」なのだという。
イラスト制作に関わるやり取りが全て完結できる多機能さが特徴のSave Pointだが、今回はデザインの制作過程に焦点を当てる。
同社でアートディレクターを務める磯貝 紀明さんに、Save Pointをベースにしたキャラクターデザインのプロセスをお伺いした。
※プロデューサーから見たSave Pointの使い方のインタビュー記事 “メール不要!イラスト制作のやり取りを完結する「神ツール」 〜プロデューサー編〜” はこちらです。
▼イラスト制作がこれだけで完結できる「Save Point」とは…?
「生きている」キャラクター制作にこだわり続ける
新卒でデザイナーとしてポリゴンマジックに入社し、現在11年目になります。最初はPS2の3Dのアニメーターとして、キャラクターにモーションをつけるといった業務をしていました。
入社して4、5年経った時に、社内でキャラクターデザイン業務の募集があり、その時に立候補して。それ以降はキャラクターデザインに業務がシフトしました。
3Dアニメーションから2Dのキャラクターデザインに移ったと言うと驚かれる方もいるのですが、元々キャラクターが好きなんですよ。
「生きて、演技している」ことで「忘れられない」キャラクターを生み出したいという想いがずっとあるので、自分の中では3Dでも2Dでも、目指すことは一緒なんですよね。
そういった背景や、時代の変化でイラストレーターとしてソーシャルゲームに関わるようになり、そのままの流れでジープラに移籍しました。現在はアートディレクターとして、2015年の年明けから始まった新規ゲームのプロジェクトチームに在籍しています。
主に監修業務と言いますか、外部のアートハウスさんとのやり取りであったり、内製したデザインのチェックといった管理業務がメインになっています。
大量のキャラクターが生み出される、ソーシャルゲーム運用
ソーシャルゲームの時代になって、ひとつのタイトル当たりのキャラクター数が非常に増えました。今回のプロジェクトではそこまで多くはないのですが、それでもリリース時に100体以上は用意しますし、更にカードレベルに応じて複数のパターンが出てきます。
1枚絵に対して4パターンほどは作るので、運用が続いていくと制作物としてはあっという間に数百枚、数千枚レベルになってきます。
しかも僕、キャラクターのパターンを変える時に色替えや反転をしたくないんです。そういった手法は確かにお手軽ですが、キャラクターのパーソナリティーを歪めていることになるので。
やらないと決めていることで、正直辛いし大変なんですけどね(笑)。ただ、ユーザーの方に喜んでいただければ、自分は辛くてもいいかなと思っています。
10社超のアートハウスと、膨大な数のイラストデータをやり取り
弊社は基本的に内製比率が高く、通常であればキャラクターデザインも社内メンバーが担当することが多いです。ただ今回のプロジェクトに関しては、外部のアートハウスさんに大部分のデザインをお願いしていて、全部で13、4社さんとお付き合いさせていただいています。
今回はキャラクター1体1体を、それぞれのターゲット層に刺さる個性を持ったものにしたいんです。そうすると、各キャラクターに合ったポートフォリオをお持ちの方に個別にデザインをお願いすることになるので、どうしても社数が増えていってしまって。
1体のキャラクターが完成するまでには、アートハウスさんに各工程で成果物を納品してもらい、それにこちらが赤入れをして戻す、ということを平均で5、6回は行います。
以前はこのやり取りをメールと外部のFTPサーバーを使って行っていました。メールでデータのアップロード先のURLを受け取り、ダウンロードして、中身を確認し、またメールでフィードバックしてという繰り返しですね。
メールだとデータが一元管理できないので、どれがどの返信で最新のデータはどれなのか、ぱっと見て把握できないんですよね。会社毎にツリーがどんどん伸びてしまって、遡るのも大変でした。
それにメールを使う場合、冒頭の「お世話になっております」といった挨拶もちゃんと打つじゃないですか。件数が多いので、正直、それも結構な手間だなと感じていました。
イラスト制作に関わるやり取りの全てを完結できる「Save Point」
そこで現在活用しているのが、イラスト制作に特化したプロジェクト管理ツールのSave Pointです。僕は主に、外部のアートハウスさんとのグラフィックのやり取りと成果物の管理に使っています。
今回のプロジェクトは年明けから始まったのですが、Save Pointが正式リリースした4月にすぐ使い始めました。
実は、Save PointがMUGENUPさんの社内ツールだった時に使わせていただいたことがあって。今回はアートハウスさんの数も多いので、「これなしでは考えられない!」と思って導入をしました。
イラスト制作に関わる、アートハウスさんとのやり取りが全てSave Point上で完結できるんです。仕組みとしては、弊社側からは全社さんとのやり取りが見えて、各アートハウスさんには、自分たちに割り当てられた部分だけが見えます。
ファイルのアップもドラッグ&ドロップで投げ込むだけですし、テキスト書き込む場所も明快でわかりやすい。UI/UXが非常に使いやすいので、各社さんにすぐに使いこなしていただくことができましたね。
▼わかりやすいUI/UXで、デザイン制作の進行がスムーズになる
Save Pointの特徴として、キャラクター毎に成果物やそれに対するフィードバックをスレッド形式で管理するんです。1体のキャラクターに対して1つのスレッドが立ち、そのスレッドの中にはそのキャラクターに関するデータやコメントしか出てこないため、非常にわかりやすいですね。
▼キャラクターや工程毎に、スレッド形式でデータを管理できる
それぞれのスレッドの一番上には、常に最新の納品データが表示されている状態になっています。以前はどれが最新のデータかわからない、という状況もよくあったので、非常に便利ですね。
サイズの大きなイラスト画像もアップできてコメントもできて、このスレッド上でキャラクター制作に関する全てが完結するというのが一番良くて。画像もサムネイルで表示されるので、いちいちクリックしてダウンロードする手間が省けたもの大きいです。
キャラクター毎にわかりやすい進行管理ができる機能が満載
ソーシャルゲームの場合はキャラクター数が多いので、全てをチェックしていくとなると本当に数千回レベルでやり取りがあるんです。今は300スレッドほどがSave Point上で稼働していて、多い時には1日に僕1人で4、5枚のグラフィックに赤入れして戻しています。もしこれをメールでやっていたらと思うと…もう、田舎に帰るレベルですよ(笑)。
▼赤入れした画像もSave Point上で共有するだけでOK!
各キャラクターデザインの進行状況も、Save Pointの機能を活用すると分かりやすく管理できます。投稿毎に「未着手」「制作中」「完了」のようなステータスを付与できて、そのステータスに応じてスレッドが色付けされるので直感的に状況が判断できますね。
自分たちでカスタマイズした工程をステータスとして登録することも可能で、僕達は「ラフ」「線画」「配色」といったものを追加しています。
また、ラベル機能も活用しています。自分たちで好きなラベルを作って、投稿や画像データに紐付けることが可能です。
例えばアートハウスさんの名前をラベルにし、後でそのラベルで絞り込めば「今この会社さんはいくつキャラクターを抱えていて、それぞれのステータスはこうなっている」という状況を把握できます。
▼制作物毎に任意のラベルを付けることで、大量のデータも整理できる
最近、画像の差分を比較できる機能もできたんです。スレッドの中のいくつかの画像をクリックして、「差分比較」というボタンを押すと、チェックしたものを横に並べたり重ねて見ることができます。
以前はいちいちローカルに落として何らかの画像ビューワーで比較していたので、手間が非常に少なくなりましたね。
▼差分を比較するために、複数の画像を並べたり、重ねて見ることが可能
ユーザーの要望をスピード感を持って反映してくれることに感謝
今では、本当にあのタイミングでSave Pointを導入できて良かったと心から思っています。MUGENUPさんには導入当初から結構、打ち合わせの際に「こういう機能が欲しい」「ここをもっと便利に」など、言いたい放題言わせてもらって(笑)。
そういったお話もしやすいですし、我々の要望も徐々に実装していただいているので、本当に感謝しています。機能拡張のペースも早くて、今は動画データにも対応するようになったんですよ。
MUGENUPさんも「いずれは本当に全部ができるようにしたい」とおっしゃっていたので、我々としても期待しています!(了)
※プロデューサーから見たSave Pointの使い方のインタビュー記事 “メール不要!イラスト制作のやり取りを完結する「神ツール」 〜プロデューサー編〜” はこちらです。