• 株式会社クレイジーワークス
  • 代表取締役 総裁
  • 村上 福之

「誰かの役に立つもの」を素早く作る!スモールサービスにオススメの決済システム4選

今回のソリューション:【WebPay/ウェブペイ】

〜「自分が死んでもサーバーは回るって素晴らしい」村上総裁流・サービス開発における決済システムの選び方〜

ひと晩でいわゆる「ネタサイト」を作ってオークションで150万円で売却したり、国会議員に有償でFAXを送付できる「Japan Changer」や、中国の爆買い検索サイト「BackGuy」の開発等々…。次々にネット界隈で話題になるスモールサービスをリリースし続ける、村上 福之さん(通称、総裁)。

村上さんがこのようなサービスを作るときには、基本的に短期間で一気に作り上げ、企画・開発・運用までをひとりで行うという。そしてサービス開発にとって大切なのは「ユーザーにとってのわかりやすさと、楽しさ」だと語る。

自分が死んでも、サーバーが回っていれば誰かの役に立ってる。それって素晴らしい」と言う村上さん。今回は、開発の裏にある思い、そして有償サービスには欠かせない決済システムについて聞く。

実装の簡単さや審査の観点から、「PayPal(ペイパル)」、「Gumroad(ガムロード)」、「WebPay(ウェブペイ)」そして「PAY.JP(ペイドットジェーピー)」を紹介していただいた。

自分もユーザーも楽しくて、わかりやすいWebサービスを作る!

Webサービスを開発する時は、たいてい1日で作ってしまいます。設計や、誰に向けて作るのかを考えている時間はけっこう長いのですが、作るのは一瞬。今はOSSがたくさんありますし、サーバーも安くて、材料がかなり揃っているのでサービス開発は難しくないですね。

逆に誰でも作れるようになってしまったので、プログラミング、楽しくなくなっちゃったなぁって(笑)。

サービスの中身を考える時のポイントは、まずは作っていて楽しいかどうか。そしてユーザーにわかりやすいかどうか。そもそも、自分がしていることを他の人に理解されたい、という気持ちがあります。

昔メーカーにいた時に、デジカメの画像処理や動画のデコードをどれだけ早くするか、という仕事を担当していたんです。だんだん内容が難しくなってきて、計算ばっかりしているようになって。

周りの友達に「何の仕事をしているの?」って聞かれて、「DCT(離散コサイン変換)の最適化が…」って言っても誰にも理解されない(笑)。けっこう辛かったんですよ。

そこで身を持って、「わかりやすくなければ人は理解しない」ということを体感して。そして理解されないと、モテない(笑)。自分は1micro-secondの高速化が楽しいと思ってやっていても、micro-secondって1,000分の1秒だし。

そういう仕事って人には理解されにくいんですね。サービスも、そもそも人間としても分かりやすくないとダメだなって。

「爆買」比較サイトから募金まで、Webを使って幅広く取り組み

昨年(2015年)は例えば、「BackGuy」というWebサービスを作りました。日本製品が中国の転売サイトでいくらで販売されているか、比較検索できるサイトです。中国って物価がすごく高くて。

日本の化粧品とか電化製品、日本の2倍くらいの値段で普通に取引されています。日本製の炊飯器を3個くらい中国に持って帰って売ったら、また日本に来ることができるくらい。

▼日本製品の中国での転売価格が検索できる「BackGuy」

実際に日本製品が中国のサイトでめちゃくちゃな値段で販売されているものを見て、やばいな、と感じてこのサイトを作りました。日本の製品が向こうでいかに高く評価されているか、見ているとすごく分かりますね。皆が爆買いする気持ちもわかるなぁって…。

決済サービスには何を使う? まずやってみる、時は「PayPal」

BackGuyや募金もそうなのですが、こういったサービスを1人で開発する時に悩むことのひとつとして、どの決済サービスを使うかということがあります。

例えば昨年作ったサービスのひとつで、4,800円でWebサイトのフォームから国会議員の全員の事務所にFAXで意見を送れる「Japan Changer」というものがあります。原発や安保のデモに、冷やかしで参加していた時に思いつきました。このサービスの場合は、最初「PayPal」を使っていました。

PayPalは実装がすさまじく楽で、しかも無審査。自分でJavascriptで、InputのHiddenに値段などのパラメータを投げるだけ投げて、postするだけでクレジット決済フォームに飛ばしてくれます。コールバックも投げてくれるし、すごいでしょ、それ。*

最初にクレジットカードと、銀行口座の情報と一緒にアカウントを作れば、誰でもすぐに使えます。おかしいくらいフリーダムすぎるという。

▼無審査で実装も簡単、ただしユーザーには難しい「PayPal」

セキュリティ面も問題ないので、まずはやってみる、という時には良いと思いますよ。ただ、ITに詳しい人でないとちょっと辛い、海外的なUIなんです。ユーザーの人にも使いやすいサービスでないと、僕も楽しくないし。

あとはごくたまにコールバックが遅れることがありますね…1時間返ってこなかったり。だからゲームのように、リアルタイムの課金を実現したい場合には厳しいと思います。

ちなみに決済手数料は、国内からの受け取りで3.6% + 40円、海外からの受け取りで3.9% + 40円(2016年1月現在)です。

リンクを貼るだけ!一番お手軽な「Gumroad」

この時に他のサービスもいろいろと使ってみたのですが、お手軽さで言ったら最強だったのは「Gumroad」。プログラミングもアカウントもいらない、審査もなし。リンクを貼るだけなんですよ。ユーザーがそのリンクを踏むと決済ページに飛んで、それで終わり。

▼お手軽さで言ったら最強の、「Gumroad」

運営元に決算完了の通知メールは届くのですが、コールバックが返ってこないのでこっちのプログラム的に何が起こったかは把握できません。飛びまーす、で終わりです。そのまま1週間後に、なぜかPayPal経由で入金が来ます。決済手数料は5% + $0.25(2016年1月現在)ですね。

例えばデジタルコンテンツを売る場合は、決済が確認できたらそのまま自動でダウンロードできるようにしたいですよね。Gumroadの場合はプログラム的なものは何もないので、そういったことはできません。

全部メールで手動対応。ECサイトのように入金を確認してモノを発送する、というような仕組みであれば使えますね。ただ外貨決済なので、円ベースで考えた時に為替レートによって決済額が変わってしまいます。 こうした部分がOKであれば最強です。

日本企業が運営、実装も楽でユーザーも使いやすい「WebPay」

最終的にJapan Changerの時は、「WebPay」を使いました。開発・実装がかなり楽なんです。最近の、決済会社で流行りのRESTfulAPIでいい感じで。まぁ、「Stripe」や「PAY.JP」も同じなんですけど。

でも、審査は結構厳しいです。ちょっとネタっぽいサービスだと、落とされてしまいます。例えば過去には、LINEで僕が話し相手をします、というサービスを作ったら、ダメでした(笑)。日本の会社が運営しているサービスなので、しっかりしていますね。

手数料も安い方で、Visa、MasterCardのカードでは3.25%、JCB、American Express、Diners Clubのカードでは3.4%(2016年1月現在)ですね。

▼開発・実装が非常に簡単な「WebPay」

WebPayは、以前は審査も他のサービスと比べて早くて良かったです。Japan Changerの時は1、2週間ほどでした。ただ最近は、それがちょっと長期化する傾向がありますね…。

同じようなインターフェイスですと、審査が早くてゆるい PAY.JPの方がオススメかもしれません。2016年5月31日まではキャンペーン期間で、手数料無料で使うこともできます。

▼審査が早くて使いやすい「PAY.JP」

個人的には、サービスをバーっと作ったら、決済機能はスピード重視でPayPalつける。その間にWebPayかPAY.JPを申請して、それが走り出したら、PayPalをやめる。という形が一番いいかなと思っています。あとは念の為にGumroadもあれば、いい感じになるんじゃないかな。

自分が死んでもサーバーが回っていれば、誰かの役には立つ

今後どのようなサービスを作っていくかは、まだ全然わからないし何も決めていないです。もう年も年だし、集中力も記憶力もなくなっちゃった。

中国も景気悪いし、グローバル化で受託開発もオフショアにやられて大変だし。もう若い人の邪魔にならないように、細々と生きていこうかなぁって。

実装を頑張るのも、けっこう疲れてきましたね。お金払ってサーバーを立ち上げたのに謎のエラーとか、インストールがうまくいかないとか、OSSの公式ドキュメントが途中までしか書いていないとか…大変じゃないですか。

大人になればなるほど、自分が作ったものに愛なんか何も持てなくなるんですよ。いっぱい作りすぎたのかな…小学生の時に作ったゲームに愛はあったのに。でもやっぱり、人の役に立ちたいっていう気持ちはあるんですよね。

自分が死んでも、サーバーが回っていたら誰かの役に立ってる。それって素晴らしい。八方塞がりだって感じることも多いですが、がんばります。がんばろう。(了)

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