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「言語で採った人は、言語で採られていく」えふしん氏に学ぶ、エンジニア採用の今

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〜優秀なエンジニアを採用するために企業ができることとは? 「会社は基本的には選ばれる立場」と語る、えふしん氏の哲学とは〜

ガラケー・スマートフォン用のTwitterクライアント「モバツイ」の開発者であり、現在はネットショップの作成・運営サービスを提供するBASE株式会社で取締役CTOを務める藤川 真一さん、通称えふしん。

CTOとして組織の成長を支える上で、エンジニアの採用という問題をどう捉え、どのような基準で人を採用しているのだろうか。

良い言語というのは移り変わっていくんですよ。言語で人を採用したら、同じように言語で人は採られていくんです」と語るえふしん氏は、エンジニアを採用する上で問題になる、言語選定についても独自の考えを持つ。

採用を行う上で企業はどのような基準を持つべきなのか、BASEはどのように優秀なエンジニアを獲得しているのか、詳しいお話を伺った。

「たまたま作った」モバツイで成功を収め、BASEのCTOに

私は製造業からWeb、そしてモバイル業界という経歴を辿ってきました。モバイルとの関わりはもう10年ほどになりますが、paperboy&co.(現:GMOペパボ株式会社)にいた時に個人的に作ったモバツイというサービスが始まりですね。

藤川 真一さん

モバイルも触っとかないとな、と思って勉強をしていて、たまたま作ったモバツイが上手くいき、jig.jpさんに売却するまでになりました。

その後、技術顧問としてBASEのローンチを手伝う機会がありました。1年ほどは、たまに会社に行っては好きなことを言うという生活を送っていましたね(笑)。そうこうするうちに、BASEは順調に拡大し、2014年に正式にCTOのオファーを受けて、ジョインしました。

BASEにジョインしたのは、CEOの鶴岡に惹かれた部分もあります。当時のBASEはPayPalの決済システムを使っていて、モバツイを経験している僕にはそれはリスクが高いビジネスに見えたんですね。

もし何かの都合でPaypalに切られたらどうするんだろう、シリコンバレーの都合に振り回されたらどうするんだろうと。

それが、あれよあれよという間に仲間を引き入れて、気がついたら三井住友カードさんやソニーペイメントサービスさんと連携していて、日本でも一番エスタブリッシュな会社と組んで決済システムを入れ替えていたんです。この人はただの学生起業家じゃないな、と思いましたね。

ベンチャー企業では、「安定と変化」を両立できる人材が必要

弊社は決済を扱うミッションクリティカルなサービスなので、仕事を行う上で正確性は必須です。ただ、人を採用する上では正確性に加えて、「変化を恐れずに前に進む力があるか」を見ています。

大企業の場合、変化よりも守りというか、危ないところは絶対に触らないという感じがあるじゃないですか。しかし我々のような会社ですと、結構危ないところにも触るしかない、という状況が出てくるんですよ。

そういうときに怖気づいてしまうと、本来やるべき事が出来なくなってしまう。そこで、そういった「変化」をどう乗りこなすかという部分を見極めています。

藤川 真一さん

チャレンジングなことをするにはやっぱり技術力が必要ですし、責任の重いサービスを運営しながら変化にも挑んでいく。そういったことを両立できる人材を求めていますね。

「言語で人を採ったら、言語で人は採られていく」

エンジニアに関して言うと、弊社ではPHPやPythonといった言語を使用しているので、それらの技術に対しての習熟度というのはもちろん採用でも見ています。

ただ、ポテンシャルがあるのならそこまで気にはしていないですね。基礎教育がしっかりとされているのなら、どの言語だろうとやっていけると思っています。

今のWeb業界で、Rubyを使っている会社って多いじゃないですか。それ自体は全然良いのですが、言語にロックインされてしまっては未来はないんじゃないかと思っています。

ここ数年だと、ブランディングも兼ねて「Ruby on Railsを使っています」という会社が多いですよね。そこで働く人がRails大好きで、それに対してコミットしていけるなら良いのですが、必ずしもそうではないスタートアップもあるように思えます。Railsを使っておけばエンジニア採用が楽になるとか、そういう考えの会社も多いんじゃないでしょうか。

言語でブランディングしてしまうと、その言語がナンバーワンであるうちは良いのですが、良い言語というのは移り変わっていくんですよ。Railsの魅力で入ってきた人たちは、Go言語の会社に持っていかれる。

藤川 真一さん

言語で人を採ったら、言語で人は採られていくんです。それを防ぐには、新しい技術が使えるという魅力だけでなく、しっかりとビジネスとしての魅力も醸しだしていく必要があると思っています。

仕事と趣味で技術を切り分け、上手くはみ出す人が出てきてほしい

使用する言語には、個人の趣味も反映されると思います。その気持ち自体は自分がコミットしたい言語コミュニティで充足してもらって、仕事では、プロダクトファーストを前提として、PHPでも何でもどんとこい、といった価値観を持ったエンジニアを増やしていきたいですね。

別に弊社もPHPやPythonにこだわっているわけではないので、新しい言語で書きたければ書いてもいいと思うんですよ。

ただ、それはコンセンサスの上で成り立つので、その人が伝道師になってみんなを洗脳し、次世代アーキテクチャを作るタイミングなどで自ら率先して書き換えていくことを期待できるレベルであってほしいです。

現実的なアプローチとして、独立したバッチやモジュールをNode.jsやGo言語、Rubyを使って進めているものがあります。さまざまな技術に興味を持つことは非常に大事なので、むしろ、そのチャレンジは奨励しています。

また、何かを学ぶ取り組みを仕事以外の時間でやることも奨励しています。具体的には書籍の購入はもちろん、勉強会に参加するために早く帰ることや、参加費用の補助などですね。

そこでの経験が仕事にもフィードバックされるはずなので、そういったことを活用して上手くはみ出していく人が出てきてほしいですね。

何かを実装しようとしている行為が、BASEやPAY.JPに対してプロダクトファーストであることさえ約束してもらえば、止めることはありません。そして、そういう提案ができる人はきっと仕事も、イキイキとできるのかなと思います。

採用に関して、会社はあくまでも「選ばれる立場」にある

弊社のエンジニア採用には、GreenやWantedlyといった求人媒体や、エージェントさんを活用しています。現在は月に10人ほどの人と面談をしていますが、採用までつなげるのは結構難しいですね。

優秀な人材はどこでも選べるので、会社というのは基本的に選ばれる立場だと思います。エージェントさんにたくさんの紹介をいただいたからといって、簡単に採用の数が増えるわけではありません。

藤川 真一さん

弊社では知り合いを増やす目的で、定期的に「BASE Drink」というミートアップイベントも開催しています。転職のことを強く意識せず、ふわっと転職に関する話ができる人を増やし、縁があれば半年や1年後に声をかけて貰えるような状況を作りたいんですね。

ただ、転職するかわからない人を口説くのって大変じゃないですか。彼氏がいるかもしれない人を口説いているようなものなので(笑)。「うちに来ない?」って誘っても、「興味がない」と言われると凄く辛い…。

そんな中、新しい試みとして参加しようとしているのが、転職ドラフトという新しいサービスです。企業が求職者に対して、競争入札の方式でオファーを出していくというサービスで、面白いなと思いました。

こういった形で、転職したい人が「転職したい」と表明する場所がある、ということは良いなと思います。「彼氏募集中!」と言っている人の方が、声をかけやすいので(笑)。

エンジニアはどんどん「作って公開」していくべき

採用される側の話で言うと、エンジニアは市場で評価されたいのであれば、自分のプロダクトを作ってファンを作ると良いと思います。

昔だったら自分でWebサービスを作って、デザインまでして公開する必要がありましたが、今ではGitHubにコードを公開するだけでファンが付いたりするじゃないですか。

そのようにプロダクトを公開し、継続的に人からフィードバックをもらって直しています、ということは、エンジニアとしてひとつの評価指標になりますよね。「物を作って公開しました!」という人が昔より減ってしまったように思えて、寂しいなと感じているんです。

公開すれば新しい人と出会えるきっかけにもなりますし、自己アピールが上手くできない人は、そういうプロダクトを名刺代わりにしていくと良いと思いますよ。(了)

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