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「紹介」こそ最強のマーケティング戦略 時価総額3兆円超のAirbnbの取り組みの解剖

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スタートアップのマーケティング戦略に関する連載です。先日はSlackのマーケティング戦略について書きました。

DAU300万人超「Slack」のマーケティングを支える「戦略」と「NPSツール」とは

Slackは「口コミによる自然成長」を最重視してユーザー数を増やしてきました。今回は、同じく「口コミ=紹介」にフォーカスして急成長したAirbnbを分析します。Airbnbは、時価総額3兆円超と言われ、「空き部屋を貸したいホスト」と「部屋を借りたいゲスト」をつなぐプラットフォームです。今では全世界34,000の都市で展開され、日本でも53万人が利用しており、前年度比529%増で成長しています

Airbnbのマーケティング戦略は「紹介」重視

Airbnbは、「空き部屋を貸すホスト」から宿泊料金の3%を手数料として収集し、「部屋を借りる旅行者」から宿泊料金の6〜12%をプラットフォーム利用料として収集します。

つまり、空き部屋を貸したいホストと部屋を借りたいゲストを増やしていくことが、売上増加につながります。ではどのようにしてホストやゲストを増やしてきたのでしょうか。広告など様々な手法を使っていますが、ユーザーによる「友人紹介」に力を入れてユーザー数を増やしてきました

▼Airbnbの紹介プログラム

Airbnb

こちらはAirbnbの有名な友人紹介プログラムですが、友人に紹介すると友人が3,500円分のクーポンがもらえます。友人が実際にAirbnbを使って宿泊すると、自分が3,500円のクーポンがもらえます。また、友人がホストとしてゲストを泊めたら、8,000円のクーポンがもらえます。

このプログラムをもとに世界中でマーケティングを実施した結果、2008年に創業したAirbnbは2015年の夏には1,700万人が利用するサービスになりました。

なお、Airbnbの友人紹介プログラムは、CloudSpongeというサービスを使って作ってきたそうです。

▼紹介プログラムを作成できるCloudSponge

CloudSponge

他にも、InfluitiveReferral Rockといったサービスもあるのでチェックしてみてください。

「紹介」のためにNPSを重視

Aiebnbはこのように「紹介」を重視しているため、NPS(ネットプロモータースコア)という指標を追っています。NPSとは、製品やサービスを他の人にお勧めしたいかどうかを数値化した指標で、AppleやAmazonといった世界の巨大企業も取り入れています。

▼NPSに関する記事はこちら

DAU300万人超「Slack」のマーケティングを支える「戦略」と「NPSツール」とは

Apple、Amazon、世界的企業が導入する指標NPS。無料、5分でNPSを測定する方法とは

開発優先順位づけにも使える たった一つの質問で顧客ロイヤリティを数値化するNPS®とは?【連載/第5回】

NPS調査では、ユーザーに製品やサービスをお勧めしたいレベルに応じて、0〜10点をつけてもらいます。0〜6点は批判者(Detractors)、7〜8点は中立者(Passives)、9〜10点は推奨者(Promoters)、という3つのグループに分類します。

▼お勧めしたいレベルに応じたスコア

Delighted

また、なぜそのスコアをつけたのか理由を記入してもらいます。

▼NPSの理由

Delighted

ここからは、実際にAirbnbが行ったNPS調査と考察が公開されているので、見ていきましょう。

How well dose NPS predict rebooking?を参照

Airbnbの批判者は約2%のみ

Airbnbは、旅が終わった約60万人のゲスト(旅行者)から、NSPを取得することに成功しているようです。NPSでは、0〜10点の11段階のうち、0〜6点という7段階が批判者(Detractors)に分類されますが、Airbnbにおいてはたったの2%だけが批判者(Detractors)だったようです。(下記図は、横軸がNPSの0〜10点、縦軸がユーザー数)

▼AirbnbのNPS集計結果

Airbnb NPS

NPSにもノイズあり 適当な「推奨者」には注意が必要

各スコアのユーザーが1年以内に再度Airbnbで予約をしたかを分析しています。

▼1年以内の再予約に関するデータ

Airbnb

0〜6点の批判者(Detractors)より10点の推奨者(Promoters)の再予約率は、13%高くなっています。

また、それぞれのスコアのユーザーが1年以内に紹介プログラムを実行したかも分析しています。

▼1年以内の紹介に関するデータ

Airbnb

このデータを見ると、0〜6点の批判者(Detractors)より10点の推奨者(Promoters)の紹介率は4%高いです。ここでAirbnbは注目すべき考察をしています。

仮に9点、10点の推奨者(Promoters)であったとしても、泊まった部屋のレビューをAirbnbに残さなかったユーザーの再予約率や紹介率を調べると、0〜6点の批判者(Detractors)と変わらなかったそうです。

▼泊まった部屋のレビュー

Airbnb

つまり、9点、10点を適当につけているユーザーもいて、NPS上で推奨者だからと言って手放しに優良ユーザーと決めつけることはできないということですね。

逆に、部屋のレビューを残してNPSを書かなかったユーザーの再予約率や紹介率は、9点、10点の推奨者(Promoters)と同水準だったそうです。こういったユーザーは、NPSに答えていなくても、優良なユーザーです。

この結果から、AirbnbはNPSの計測をする時に、適当に9点、10点、をつけているノイズを見極めるために、レビューに回答しているかといった他のユーザー行動も考慮すべきだとしています。

まずは計測からはじめよう

Airbnbのすごいところは、60万人ものユーザーからNPSを取得して「どのようなユーザーが紹介をしているのか?どうしたら紹介が増えるか?」を真剣に分析しているところです。NPSはあくまでも目安であり、そこから自社の製品やサービスにとって最良のユーザーを探り当てるのは、分析が必要になります。とはいえ、まずはNPSの計測からスタートします。下記のツールで簡単にスタートできるので試してみてください。

▼簡単にNPSをはじめられるDelighted

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