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顧客を「作る」力を身につける。営業から企画への人材転換を図る、その方法とは

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〜10年以上のWeb運用暦をもつ床尾 一法さんが、株式会社IDOMで実施している「考え方フォーラム」の内容を紹介〜

2016年7月、ガリバーインターナショナルより社名を変更した、株式会社IDOM。「自動車の流通革命」を掲げ、未来に向かって常に「挑む(いどむ)」という行動指針のもと、20年以上にわたって事業を展開する中古車の買い取り事業を革新していこうとしている。

同社では、本社の企画職やWebの集客担当に異動となった若手の営業マンを対象に、企画経験豊富な社員を講師とした「考え方フォーラム」という対話の場を設けている。それまで「顧客の前」で仕事をしていた営業職が、顧客と対話する「仕組み」を作る側に移るための、思考する方法を学ぶ場所だ。

具体的には、「マーケット・顧客・ニーズ」の把握から始まり、「なぜお客様は私たちから購入してくれたのか」までを考え尽くし、事業の成長を考える力をつけているという。

今回は、10年以上にわたるWeb運用・コンサルティングの経験を元に、「考え方フォーラム」を実施している床尾 一法さんに、その背景と実際の内容について、詳しくお話を伺った。

営業職を企画職へ。顧客と対話する力を付けるフォーラムを開催

私は10年以上、さまざまなWebサイトの運営やコンサルティングを行い、現在は、IDOMで新規事業の開発に携わっています。

IDOM 床尾 一法さん

弊社では、全国から営業の若手社員が本部に集まってきます。彼らは現場の戦力としてのみならず、お客様に喜ばれるサービス造りやオンライン上での顧客との対話まで、明日のIDOMを事業の仕組みづくりから担っています。

彼らは優秀な営業マンですから、顧客と直接対話する技術は一流です。ですが、企画職には顧客の行動を理解し、思考する力も必要です。その力が新たな顧客を「作る」仕組みを生み出す原動力となります。営業現場の経験を活かしてマーケットを捉え、その知識で事業の仕組みづくりを考えなければなりません。

貴重な現場経験をもとに、「事業と顧客」について考えられる人材になってもらえるよう、決裁者の許可を取り「考え方フォーラム」という場を設定しました

企画には、「ターゲットに合わせたメッセージ」が重要

企画の出発点は、「マーケット・顧客・ニーズ」です。弊社の場合は、クルマを買い取る、中古車を販売する、というのが主な事業になります。

顧客を考えた場合、例えば「世の中にはクルマに乗っている人と、乗っていない人がいる」という分類から始めてみましょう。続いて、「クルマに乗っていない人はなぜ乗っていないのか」を考えてみます。高いからなのか、お金が無いからなのか、必要が無いと思っているのか、といった具合に可能性を思考していきます。

IDOM 床尾 一法さん

そこで、企画職の方々に「あなたの企画は、このうちの誰に対してメッセージを作りたいんですか」と問います。

「クルマをまだ持っていない人に、クルマを買ってもらう」という企画なら、その持っていない理由に合わせたメッセージが必要です。もし「乗るきっかけが無い」というのが理由なら、「どうすれば乗るきっかけを与えられるのか」ということを問うていきます。

さらに、「もし乗るきっかけが発生して、クルマが欲しくなったときに、どういうメッセージを発したら弊社のサービスを選んでいただけるのか」と思考を続けていきます。

こういった思考のプロセスで、顧客のターゲット像から行動を想起し、サービス設計の具体的なメッセージまで一気通貫で考えることが、企画を作る上では重要です

「何がわからないのか、わからない」状態を脱するためには?

実際の「考え方フォーラム」は、3部構成で行います。第1回では、考え方を整理整頓し、ひっかかりとなる「くさび」を打ち込む場所を探す方法を伝えます。

ビジネスには、ターゲットが存在しますよね。その中には、すでに自社の顧客である方と、まだそうでない方がいます。ビジネスを成長させるには、自社の成功パターンと失敗パターンを分析して、前者は広げ、後者は克服しないといけません。

実際に、企画経験の浅い方とじっくりと対話しながら一緒に考えていくのですが、現状でわかっていることや、わからないところを聞いても、「何がわからないのか、わからない」状態が多いことに気づきました。やりたいことに必要な要件や、判明している事実を整理しきれていないようなのです

そこで、考え方を整理するために、思考の要点を顧客との接点ごと、「市場の開拓」「集客」「収益の最大化」の3つのフェーズに分けています

▼ 顧客との接点を、3つのフェーズに分けて、思考を整理

現状の課題を書き出し、どんな顧客が、どのフェーズで、どういう結果に至ったのかを整理します。そして、その動きが設計段階での想定に対して期待通りだったのか、あるいは期待通りではなかったのかを確認し、その原因や理由を考えていきます。

このように、必要な要件と判明している事実を整理整頓することで、「何がわからないか、わからない」状態を解消し、どこから手をつけるべきかを明確にするようにしています。

お客様が「信用してくれた」ポイントを考える

第2回では、実際のサービスの成功事例や失敗事例にこの考え方を適用して、成功や失敗の理由を推測します。第1回の内容をもとに、他社のサービス課題を考える思考の訓練です。

最後の第3回では、自社の事業やサービス構造、市場での位置づけを俯瞰的に眺め、会社の未来、その中での自分たちが担うべき未来づくりを考えます

ここでの考え方にはポイントが2つあります。ひとつ目のポイントは「なぜお客様は私たちから購入してくれたのか」を考えることです

お客様が弊社からクルマを買う理由は、「価格が手頃だったから」でしょうか?「在庫があったから」でしょうか?弊社の販売価格がいつも他社より安いわけではありませんし、在庫ラインナップが常に他社より優れているわけでもありません。

IDOM 床尾 一法さん

それは最後に弊社を「信用してくれたから」なんです。お客様は、信用した相手の前でしかサイフを出しませんし、開きません。つまり、営業担当者自身がお客様との対話の中で、信用を勝ち取っているんです。

そこで、実際にどこでお客様の心が動いたのか、どこで「ここでクルマを買えば幸せになれる」と思うようになってくれたのか、信用されたきっかけや要因を考えます。

購入したお客様の背景から、未来のターゲットを見つけ出す

ふたつ目のポイントは、購入してくれたお客様はどのような人たちなのか、その背景を考えることです

「クルマが欲しかった人たちです」というのは簡単です。重要なのは「なぜその人たちはクルマが欲しくなったんだっけ」と考える事です。

例えば「家族ができたから」「収入が増えたから」といった答えが想像できますが、このように「クルマが欲しくなった理由」を考えると、逆に「家族ができるまでクルマが欲しくなかった」かもしれない、「収入が増えるまでは我慢していた」かもしれない、という仮説も浮かんできます

ここにまだ私たちのサービスに触れていない方々の姿、自分たちがこれから「クルマを買いたくなる」ようなサービスによる対話を広げるべき未来の顧客像が見えていきます。これが顧客を「作る」ための仕組みづくりの元になります

「事業の成長」を考え、会社と共に成長する人材を増やしていく

このように「マーケット・顧客・ニーズ」を考える習慣をもてば、日々の目の前にあるタスク処理のみならず、常に「事業の成長」を見据えた「今」を考えられるようになるはずです。

IDOM 床尾 一法さん

また、日々のタスクに「なぜ・なんのための作業か」を意味付けられるようになれば行動の目的が明確になり、アウトプットの質も必然的に上がっていきます。

今後とも、「考え方フォーラム」を通じて、若い社員が日々の運用に留まってしまうのではなく、事業そのものの成長と市場の未来、顧客の幸せを考えられる人材になることのお手伝いをしていきたいと考えています。(了)

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