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怒るのではなく叱る。ウォンテッドリーの、徹底的に「考えさせる」インターンとは?

〜50名の社員に対して30名のインターン生を受け入れるウォンテッドリー。徹底的に「考えさせる」その育成方法とは〜

ビジネスSNS「Wantedly」を運営する、ウォンテッドリー株式会社。同社には50名の社員に対し、30名のインターン生が在籍している。採用のための一過性のインターンではなく、長い人では1年以上もコミットし続けているという。

そのインターン生の教育では、徹底的に「考えさせる」ことを重視している。答えを与えず、面談の設計からKPIの設定まで、インターン生を中心に議論が行われる文化が醸成されている。

今回は同社の佐藤太亮さんと、元インターン生の山本健太さんに、同社のインターンへの取り組みから、インターン採用で重視しているポイントまで、詳しい話を伺った。

「シゴトでココロオドル人をふやす」ためのインターン


佐藤 弊社は「シゴトでココロオドル人をふやす」というミッションの下、ビジネスの出会いからコミュニケーションまで、一貫したプラットフォームになるサービスを運営しています。私はそのビジネスデベロップメントチームで、企業様の活用をサポートしております。


山本 私は大学3年の10月から、今年1月までウォンテッドリーでインターンをしていました。

佐藤と同じ部署で、当初は登録したばかりの企業様へのサポートを行い、次に既存クライアント様がWantedlyをうまく活用するためのサポートをしていました。

佐藤 「シゴトでココロオドル人をふやす」というミッションを持つ弊社は、良い大学に入って大企業に就職するという、いわゆる成功ルートだけがひとつの価値基準じゃないと投げかけるサービスだと思っています。

そのミッションの一環として、私たちは学生インターンを積極的に採用しています。2017年2月現在で、50名の正社員に対して30名ほどのインターン生が在籍しています。

インターン生には、社員に近しい働き方をすることでの成長体験に加え、スタートアップの仕事を肌で感じてもらい、そこで働く人々の多様な価値観に触れ合う経験を積んでもらっています。中にはそのまま入社を決めてくれる学生もいます。

▼山本さんと現役インターン生の皆さん

答えは教えず、ひたすら「考えさせる」ことを大切に

佐藤 エンジニアのインターンは早い人では1週間くらいで終わる人もいますが、ビジネス側は基本的に最低3ヶ月ほどの、長期インターンだけを受け入れています。逆に、期限は特に決めていません。学生たちが残りたいと思えば残っていくというスタンスですね。

弊社のプロダクト自体が早いスピードでグロースしているので、ある程度中長期で参加してもらった方がお互い良いと考えています。そのため、今いるインターン生の中には大学を休学して、参加している学生もいたりします。

山本 インターンとして入った最初の頃は、新規登録した企業様の担当として、電話でのサポートをしていました。それに慣れていくと、次は社員さんと同行する形で、対面でのセールスも経験しました。

最初は本当に何もかもが初めてで焦りましたね(笑)。マニュアルはあったのですが、企業様によって対応が変わる部分は当然あるので日々試行錯誤の連続でした。ただ、そのような個社対応の部分に対しても、社員さんは「最初は インターン生同士で解決して」という風に、まずは自分たちで考えるように言われていましたね。

その後に担当した、既存クライアント様に対するサポートのチームは、比較的、新しいチームでした。そこでも、まずはインターン生同士で「もっとこうした方がいいんじゃないか」「これを目標にしてみよう」というのをディスカッションして、社員の方に提案するような動きをしていました。

一貫して「考えさせる」ことに重きが置かれていましたね。

佐藤 最低限の知識やビジネスマナー、サービスの理解の部分は間違って理解されても困るので、最初に教えたほうが早いですよね。そこから、個別のクライアント様が満足してくれるようなストーリーをどう描くかという部分は、一度考えてもらったほうがいいと思っているんです。

山本 私たちに考えさせるといっても、たぶん社員さんの中では答えはあるんだと思います。でも、そうではない答えを私が持っていて、それに対して「なぜそう思ったのか」を考えさせることで、自分なりのロジックを深めていくことができる。

そして、最後に「こういう考えもある」と教えてもらえることで、自分で考える力は付いたのかなと思います。

インターン生のマネジメントもインターン生を主体に

佐藤 インターン生の育成の施策としては、ケーススタディを取り入れています。Wantedlyを使っていただいている企業様は、それぞれ採用に関する事情が異なってきます。

Wantedlyには企業様に合わせたセールスポイントがいくつもあるので、「この企業様には全てを話すのではなく、特にこのポイントだけをしっかり話す」など柔軟に使い分けないといけないんです。そういったポイントに合わせた商談を設計する力をつけるために、ケーススタディを取り入れています。

また、インターン生のマネジメント自体をインターン生にしてもらうこともあります。まずは個人の成果を出すところにコミットしてもらっていますが、一定基準をクリアできれば「このチームをマネジメントしてね」とリーダーのポジションをお願いしています。そうすることで、インターン生同士でサポートし合えるような環境ができています。

山本 私もインターン生をマネジメントする立場でしたので、自分が学んだことは新しい人にどんどん伝えていました。

例えば、私はインターンをするのが始めてで、最初は中々コミュニケーションが上手くできていなかったんです。お世辞にも最初は企業様に対し適切なサポートができていたかというとそうではなかったと思います。


でも、社員の方に「サポートというのは鍵穴に鍵を差すような行為だ。相手のニーズを理解して、それに対して何ができるのかを考えなくちゃいけない」と教えられたんです。それがひとつのシフトチェンジになって、それからは自分が喋るよりも、相手のニーズを聞くことに重きを置くようになりました。

新しく入ってきたインターン生を見ていても、最初はやはり自分ばかり話してしまうんですよね。ヒアリングが大事なのだというのは、自分自身の経験からもしっかり伝えるようにしています。

インターン採用で大事にしている基準とは?

佐藤 インターン生を採用するときには、どれだけコミットできるのかを見ています。でも、これは最低ラインでしかなくて、それよりも学生が持っている有限の時間の中で、バイトや学生団体ではなく、なぜスタートアップのインターンという選択肢を選んだのかという思考プロセスを見ています。

インターンと他の選択肢は何が違うのか、その違いを把握して入ってきてくれる人でないと厳しいんですよね。たまに学生団体と同じノリでインターンに来る人がいますが、学生団体はビジネスでない部分も大きく、人を巻き込んで何かが出来れば成功と思っている人も多いです。

インターンは本物のビジネスで、クライアント様がいるものです。追ってもらっている目標も、ウォンテッドリーの社員も見ている実際のKPIで、そもそもKPIに何を設定するのかというところからインターン生に議論させています。この「ビジネスとの違い」が理解できなければダメですね。

山本 とはいっても、最初にインターンへ応募するときの心理的ハードルは低かったですね。エントリーという硬い感じではなく、話を聞きにいくだけという感覚だったので、絶対にウォンテッドリーで働きたいという段階でなくても、気楽に応募できたのは良かったですね。

インターン生と社員は肩書が違うだけ

佐藤 クライアント様に失礼があるのは一番やってはいけないことなので、マナーはもちろん、サービス価値を間違えて伝えてしまわないかは、徹底的に気をつけていますね。ロープレをしたり、同行を重ねたり。

逆にその経験を積んでいけば、社員とインターンは極端に言えば肩書が違うだけだと思っているので、積極的に外に出していって良いと思っています。

そのため、社員にも「インターン生はお客さんじゃない」という認識は統一させていますし、インターン生にも「社員からお客さんとして扱われたら終わりだ」と伝えています。


あとはミスをしたときに、怒るのではなく叱るというのもポイントです。怒って、「これはダメだからこうしよう」と命令形式で答えを導いていくのではなく、ここでも考えさせる。なぜそうしたのかと理由を聞いて、「それはこの視点からみたときに本当に正しいんだっけ?」と問いかけて気づかせるコミュニケーションを取っています。

主体的に意思決定をして行動していくことや、PDCAを回していく点がバイトにはないインターンの価値だと思っているので、そのためのコミュニケーションを取るように心がけています。

今後も多様なインターンをどんどん受け入れていって、個人の意思に基づく仕事のベクトルを揃えて、いい方向に向かっていけるようにしたいですね。

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