- 株式会社ミクシィ
- CS推進部 CRグループ
- 中野 康太朗
ユーザーの「不満度ゼロ」が目標!1人ひとりに本気で向き合うミクシィの顧客対応とは
今回のソリューション:【Zendesk/ゼンデスク】
〜ユーザー満足度をあげるカスタマーサポートを実現した「Zendesk」の使い方〜
BtoCサービスを展開する上で最も大切なことは「顧客対応」だと言っても過言ではない。とは言え、1人ひとりの顧客と向き合い、全員が満足するような対応を続けることは至難の業だ。
それでもその実現を目指すのが、世界累計で利用者数が3,000万人を突破した「モンスターストライク」等を運営する株式会社ミクシィだ。
同社には、委託先のユーザーサポートスタッフも含めると100名以上が所属する、CS専門の組織がある。そこでは直接的なユーザーサポートのみならず、専属のエンジニアによるCSツールのカスタマイズや自社開発までが行われている。
そんなCSチームのメンバーの1人、中野 康太朗さんは「あらゆる手段を使って、ユーザーが困っていることを解決したい」と語る。今回は中野さんに、同社がモンスターストライクの海外展開を見据えて昨年導入したCSツール「Zendesk(ゼンデスク)」の活用術から、顧客対応のあり方についてまでを聞いた。
エンジニアも在籍!100名を超えるミクシィのCS体制
前職で電話対応でのカスタマーサポート業務を4年ほど経験し、その経緯でお話を頂いて2014年の8月に弊社に入社しました。
現在弊社では、社員だけで50名前後、リモートで業務をしている方や業務委託の方も含めると100名を超えるMS(メンバーサポート)本部で、全てのサービスのCS対応を担っています。
主に直接的なサポートを担当するCS推進部と、対応の質を向上させるために既存ツールのカスタマイズや自社ツールの企画開発を行う企画開発部に分かれています。
私はCS推進部の中のCR(カスタマーリレーションシップ)グループで、CS関連のツールの選定やカスタマイズ、データ分析などの業務を行っています。MS本部には専任のエンジニアも在籍しているので、機能追加や開発がスムーズに進み非常に助かっています。
時には一緒にプレイ!お客様1人ひとりの「不満度ゼロ」を目指す
弊社がカスタマーサポートにおいて大切にしている価値観は、可能な限りあらゆる手段を使い、個々のお客様の「困っていること」を解決することです。そもそもお客様に不満を抱かせない、不満度がゼロの状態になることを目指しています。
1人ひとりの不満や要望をしっかり見ていくことが、サービス自体の改善にどんどんつながっていくからです。そして結果的に、多くの方に「楽しい」と感じていただけるサービスを生み出すことになります。
例えばモンスターストライクはマルチプレイで楽しんでいただくゲームなのですが、以前、地方に住んでいる方から「周囲にプレイされている方がいない」というお問い合わせをいただいたことがありました。
CSとして何とかしたいと思い、「一緒にマルチプレイしませんか?」というお声がけをしました。私もLINEでつながってフレンド関係になり、実際に一緒にプレイしたこともあります。たまたまそのお客様が欲しかったキャラクターもドロップして。
それは完全に運でしたが(笑)。一般的なCSはマニュアル化された対応が多いかと思うのですが、弊社の場合はこのくらいまですることもあります。
インターフェースとサポート体制で選んだZendesk
このように1人ひとりの要望に対応していくためには、サポート体制をしっかりと仕組み化することが重要になります。そこでZendeskを活用し、ユーザーからの問い合わせを一元管理しています。
導入する契機になったのは、モンスターストライクが海外展開をするにあたり、外国語に対応したCSツールを入れる必要が出てきたことです。様々なものを検討しましたが、重要視していたのはインターフェースのわかりやすさと、サポート体制でした。
それらの点においてZendeskは優れていて、海外ツールでありながら日本に拠点もあって安心して使えることが決め手となり、2014年12月に導入しました。
もともと弊社ではCSにメール共有ソフトを使っていたのですが、Zendeskの場合は1つひとつの案件を「チケット」として管理していく仕組みで考え方が全く違います。
そこでまずは各部署のリーダーを対象に2時間ほどの勉強会を開催し、それを現場に落としこむ形でしっかりと周知しました。ただZendeskの管理方法はとてもわかりやすく簡単なので、すぐに理解をしてもらうことができましたね。
▼ユーザーからの問い合わせを「チケット」で管理するZendesk
ユーザー情報を個別に蓄積することで、全体の傾向を分析できる
Zendeskでは1人ひとりのユーザーに対して、タグやメモといった情報を紐付けていくことができます。サービスに登録されているユーザー情報や過去のお問合せ内容を登録しておくことで、いちいち引き継ぎを行わなくても誰でも現状を把握して対応することができます。
この機能は、弊社の「1人ひとりの不満を解決する」というサポート体制の実現のためには非常に大切です。
こうしてユーザー毎に蓄積した情報は、タグ別に一発でグラフ化することができるので、ユーザー全体の傾向を理解することもできるようになります。
資料作成の手間がなくなったので、このような情報をサービス側に共有するのも非常に簡単になりました。具体的なサービス改善につなげるために、どのような問い合わせが何件あったかいうことを定期的にミーティングを行って共有しています。
最終的には分析したユーザー傾向から判断して、困っているユーザーをこちらから見つけてアプローチしていきたいですね。困っているユーザーがいない状態を作り出すことが目標で、問い合わせ件数をゼロにすることが理想です。
Zendeskの「ヘルプセンター開設」機能をあえて社内用に活用!
Zendeskは裏側がかなりカスマイズできるので、その設定が重要になります。例えば個別のお問い合わせに効率的な対応を行うために、Zendeskのヘルプセンター機能を使い、各サービス毎に返信のマニュアルを登録しています。
この機能は本来、ユーザーがアクセス可能なヘルプページを作成できるものです。でも弊社の場合は、そのページを外部に公開せずに社内スタッフ向けの「マニュアル置き場」のような形で使っています。
▼Zendeskでは細かくカスタマイズしたヘルプページの作成が可能
自分がその時に必要な情報をページ内で検索するだけなので、誰もが素早く対応できるようになりました。
ある程度対応が決まっているお問い合わせは、ルールやマニュアルを参照することで、スピーディーに返答ができる体制が構築できています。もちろんその枠に収まらないお問い合わせは、1つひとつ個別に対応しています。
カテゴリー別に整理して登録ができるので、問い合わせの頻度が多いものに関しては分けて管理することで直接アクセスできるようにしています。
更に、特に件数の多いものに関する回答内容に関しては、ユーザー自身で解決ができるように各サービスのヘルプページに公開をすることもあります。
確かにヘルプセンターをマニュアル置き場として使わなくても、Zendeskのマクロ機能でメールそのものをテンプレートとして登録できます。でもそれだと、機能を実行しなければ登録されている返信テンプレートの内容が確認できないので、対応スピード人によっては遅くなってしまうんですね。
CS側とサービス側の密な連携が良いサービスを生み出す
MS本部では、以前はKPIとして「24時間以内の返信率」といったことを見ていましたが、現在は実際のサービス側の数値と掛け合わせたものを追うようになりました。
ゲームであればイベント時のユーザー数のようなKPIと、こちらの問い合わせ率を比較して見るようなことをしています。
Zendeskでは特定の問い合わせが届いた時にアラートを出す設定ができます。例えばアップデートの際にその内容に関わるワードを設定しておくことで、関連する問い合わせをサービス側とCS側でリアルタイムに共有しています。
具体的な改善点が見えてくることもありますし、より早い対応とサービスの改善につながっていると思います。
サービス側とCS側は常にしっかり連携していて、リリース情報やゲームの知識などもCS側でキャッチアップしています。アップデートやイベントの情報などもサービス側から常に共有されますし、こちらからはユーザーの声を可能な限り伝えています。
日々色々な声をいただいているので、今後もサービスを良くすることに活かしていきたいと思っています。
Zendeskを更に活用し、1人ひとりのユーザーに向き合う!
Zendeskは本当にいろいろなことができるので、やりたいことがいっぱいありすぎて追いつかないんですよね(笑)。今後はまず、問い合わせのチャンネルを増やしていきたいと考えています。
メールだけではなく、電話、Twitter、LINEなどにも対応していってそれをZendeskで一元管理していきたいです。また、ヘルプチャット機能を連携させることも検討中です。今後も様々なことを試しながら、ユーザーの声にしっかり向き合っていきたいと思っています。(了)