【事例3選】「CX = Candidate Experience」を徹底解剖!今「候補者体験」が注目される理由

みなさんは「CX」という言葉を聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。

マーケティングにおける「Customer Experience(顧客体験)= CX」が広く浸透してきましたが、近年、採用において注目度を高めているのが「Candidate Experience候補者体験)」という概念です。

後者のCXとは、求職者が企業を認知してから、実際に選考を終えるまでの、候補者と企業の各タッチポイントにおける体験のことを指します。

今回は、Candidate Experienceの基本概念と、注目され始めた背景、そして国内外の先進事例についてご紹介いたします。

自社の採用力を高めるため、ぜひご参考になさってください。

<目次>

  • Candidate Experience(候補者体験)とは?
  • 採用市場の変化に伴い、CXの重要性が高まっている
  • CXを改善するには? まずは自社の現状を洗い出そう
  • 国内外の先進事例【3選】

※本記事における「CX」は、すべてCandidate Experience(候補者体験)の略称として使用しております。

Candidate Experience(候補者体験)とは?

プロダクト開発におけるUX(User Experience:ユーザー体験)をはじめとして、何らかの体験を「◯X」と呼称することが増えています。

例えば、社員が入社してから退職するまでのすべての体験を意味する「EX(Employee Experience:従業員体験)が、よく知られているのではないでしょうか。

今回取り上げるCXは、一言でいうと「採用候補者のUX」です。採用候補者が、企業を認知してから選考を終えるまでの、あらゆるタッチポイントにおける体験を指します。

つまり、実際に入社するか否かに関わらず、選考活動において出会うすべての候補者に対して良い体験を届けようというのが、CXの概念です。

一方のEXは、従業員の満足度を向上させることを主な目的としており、社員の定着や、優秀な人材の惹きつけを強化するため、各社が強化している領域です。

CX(候補者体験)とEX(従業員体験)は、別テーマとして語られることも多いですが、採用のマーケティングファネルに基づくと、優秀な人材の獲得と定着における一貫した取り組みとも言えます。

▼採用のマーケティングファネル

CXには、未来の従業員に対する満足度の向上と、たとえご縁がなかったとしても自社のファンを増やす、といった効果があります。

採用市場の変化に伴い、CXの重要性が高まっている

なぜ今、CXやEXの改善が注目を集めているのでしょうか。

その背景には、昨今、企業の悩みのタネになっている「優秀な人材獲得の難しさ」があります。

従来の採用手法は、人材エージェントやスカウト媒体などを活用して、すでに転職意向が高まっている顕在層へのアプローチに偏っていました。

ですが、この顕在層は氷山の一角にすぎません。特に優秀な方ほど、今の職場でも活躍されていることから、従来の採用手法では接点を持つことが困難になってきています。

この状況下では、社員紹介や社員によるSNS発信などによる潜在層へのアプローチが効果的です。そしてまた、社員の自発的な行動や協力を仰ぐには、EXを高めることが不可欠なのです。

同時に、CX改善の波に大きな影響を与えているのが「採用の透明化」です。

OpenWork(旧Vorkers)やワンキャリア、海外であればGlassdoorのような社員の口コミサイトや、TwitterなどのSNSの登場によって、選考に対する情報も透明化される時代になっています。

実際に、いくつかの調査機関でも、選考中の体験(CX)を第三者に伝えたり、その口コミをみたことで選考を辞退することがあるというデータがあります。

・候補者のうち63%が、選考中の体験を理由に求人を拒否する可能性がある。(出展:Softwear Advice

・候補者のうち72%が、選考中の悪い体験を他人に何らかの方法で伝えている。(出展:Career Arc

・選考を当日にキャンセルした人のうち22%が、ネット上での悪い評判をその理由にあげている。(出展:人事のミカタ

このように、採用の透明化が進んだ結果、CXの重要性が高まってきました。

CXを改善するには? まずは自社の現状を洗い出そう

では、CXを改善するためには、何に取り組んだらいいのでしょうか?

まずは、候補者体験における自社の現状と課題を洗い出すことがおすすめです。

例えば、ナイル株式会社では、候補者の心理変容をもとにした「コンセプトダイアグラム」というマーケティング手法を用いて、採用活動の課題を可視化し、施策を実行しています。

▼ナイルが作成した「コンセプトダイアグラム」

参考記事:「採用がうまくいかない」理由を徹底的に可視化。施策のパッチワーク化を防ぐ手法とは

この手法はCXに特化したものではありませんが、同様に「候補者の心理変容」の視点から、CXの改善を試みるのもよいかもしれません。

また、より直接的にCXの改善をしやすくするのが「候補者アンケート」です。

株式会社メルカリでは、選考活動に対するフィードバックを候補者から得るため、2018年11月より候補者アンケートを実施していると言います。

そこで、面接官の質を高めるだけでなく、選考を終えた候補者の方にアンケートを実施し、その内容を踏まえて定期的に施策を見直しています。

このアンケートは2018年11月から始めた新たな取り組みですが、面接や選考前の情報などのフェーズごとに、メルカリの選考に対する満足度を質問する形で実施しています。

参考記事:面接官100名超の共通言語をつくる!「CX」の最大化を目指す、メルカリの取り組みとは

このような手法を用いて、自社の課題を明確にした上で施策を実行することが効果的です。

その上で、CXの改善において最初に着目すべきポイントは3つあります。

ひとつは、各選考の「結果」を伝えるまでの時間を短縮することです。一般的に、候補者の方は複数企業の選考を並行して進めており、都度判断を求められます。

ある海外機関による調査によれば、候補者が選考プロセスから離脱する最大の理由は「選考結果の返答がないこと」だと言います。

次に、選考プロセス全体の短縮・簡略化です。同機関の調査では、73%の人が「長すぎる選考プロセスをストレスに感じている」と言います。

もちろん、プロセスごとに意図をもち、CXを高める工夫が大切ですが、可能な限りの簡略化を進める必要があります。

最後のポイントは、面接です。以前の選考で話したことを次の面接官に共有されていないと感じたり、面接とは無関係な質問が多いと感じられた場合、候補者の体験が悪化すると言われています。

自社の課題を明らかにしつつ、企業を認知してからのすべてのタッチポイントで、いかに一貫性を持った体験を作れるかが鍵になっています。

では、実際の企業の改善事例を見ていきましょう。

海外での改善事例① 選考プロセスを改善した事例

世界最大のホスティングサービスを運営するAirbnbでは、2011年以降、CXの改善に取り組んでいます。

具体的には、選考プロセスの短縮と、候補者とのコミュニケーションの改善、面接後のフォロー強化を実行してきました。

コミュニケーションにおいては、採用担当者が候補者をフォローしやすくするため、FAQや動画といったコンテンツを作成して、機械的な対応にならないようにしたと言います。

▼Airbnbのハッカソンを紹介する動画

また、特に採用を見送ることになった方々を選考のフィードバック面談へ招待しています。すると、Airbnbに対してポジティブな印象が生まれ、2度目の応募や、友人への紹介などにつながっているそうです。

Airbnbに関しては、EXの事例もございますので、下記の記事もぜひご覧ください。

参考記事:Airbnbが「最高の職場」を作れる秘密。従業員体験(EX)を上げるために使うツール5選

海外での改善事例② CX全体を見直し、顧客を取り戻した事例

また、toCサービスを提供する企業では、候補者が顧客の一部であることも少なくありません。

イギリスでデジタルTVサービスを提供するVirgin Mediaでは、CXが行き届いていなかった結果、年間7,500人もの顧客を失っていることが発覚し、改善に取り組みました。

Employee Value Proposition(EVP:従業員への価値提案)を参考に、Virgin Mediaの選考に参加することで得られる価値を明確にし、それに基づいたCXのマッピングを行うことで、CXの改善を進めたと言います。

この結果、CXが原因で440万ポンドも発生していた損益を、530万ポンドの収益に転換することに成功しました。

国内での改善事例① 面接の体系化を行った事例

前述した株式会社メルカリでは、採用面接に関わるメンバーが100人を超える中で、面接スキルや見極めポイントの伝承が課題になっていました。

それに対して、採用プロセスの体系化を行うことで、CXの改善を図っています。

具体的には、選考の各プロセスでの見極めポイントの明確化や、模擬面接による面接官育成などを行っています。

▼模擬面接のフィードバックのポイント

CXに注力する背景として、以下のように話しています。

選考では、どうしてもお見送りになってしまう方が大半ですが、「メルカリの選考を受けてよかったな」と感じていただけたらと思っていて。

(中略)すべての方に良い体験を提供する、ということは本当に難しいテーマですが、今後も選考の質をあげられるような仕組みを改善していくことで、CXを高めていきたいですね。

入社に至るか否かに関わらず、すべての候補者の方に良い体験を提供できるかどうかが、今後、企業の採用力を左右してくると言えそうです。

今回は、CX(候補者体験)についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

採用市場の競争激化により、今後ますます重要性が高まってくると思いますので、ぜひご参考にしてみてください。(了)

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