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【厳選5つ】SNS×金融で収益化が見込める「SocialFi」サービスをご紹介
個人に収益をもたらしたり、プラットフォーム自体の運営に関われたりするなど、従来とは異なるユニークな体験をもたらすSNSとして期待されている、SocialFi(ソーシャルファイ)。
前回の記事では、SocialFiの概要から分類、注目の背景までをお伝えしました。そこで今回は、近年サービスを開始し、話題になっているSocialFiを5つ紹介します。
なかには、今後の展開が楽しみな日本国内でリリースされたものも存在します。SocialFiが実際にはどのように機能しているか、事例を通してイメージしてみてくださいね。
<目次>
- トークノミクス設計が緻密な日本発SocialFi「Yay!」
- Xアカウントの影響力が反映される「Friend.tech」
- Avalanche版Friend.techと称される「Stars Arena」
- 個人情報不要、メッセージも暗号化される「Secretum」
- NFTでアイデンティティを形成「Monaco Planet」
※本記事に掲載している情報は、記事公開時点のものになります。サービスのアップデートにより情報が記事公開時と異なる可能性がございますので予めご了承ください。最新の情報については、各サービスの公式ページをご参照ください。また、記事の内容についてご意見や修正のご提案がございましたらこちらまでお願いします。
1.トークノミクス設計が緻密な日本発SocialFi「Yay!」
「Yay!」は株式会社ナナメウエが2020年1月にローンチした、「誰もが素を出せるバーチャルワールド」がテーマの日本発ソーシャルサービスです。Z世代を中心に支持を集め、累計ユーザー数は800万人を突破しています(2023年11月時点)。
主な機能は、通常のSNSのような「タイムライン」に加え、「グループ通話」「サークル」の3つです。日々のできごとからマニアックな趣味の話まで、フラットでオープンな交流を楽しめるのが大きな特徴です。好きなものを好きだと言える、ありのままの自分でいられるとして、ここ数年でますます人気を博しています。
同サービスは、さらなるサービス拡大を目的として、2022年8月にWeb3時代のバーチャルワールドとしてブランドリニューアルを実施。SocialFiとして生まれ変わり、IEO(※)実施によるトークンエコノミーの形成を目指すと発表し、翌年の11月には「YAY ホワイトペーパー」を公開しました。
※IEOとは、トークン(暗号資産)の発行によって資金調達を行うこと。日本では自主規制団体のJVCEA(一般社団法人日本暗号資産取引業協会)の取りまとめの下、暗号資産交換業者が事業者の計画遂行をモニタリングしつつ、販売委託を受けたトークンの売り出しを実施している。
▼Yay!のコンセプトムービー
Yay!のトークノミクスの特徴は、多額の初期投資をしたり、ウォレットや取引所を開設したりすることなく、トークンを通じた価値交換が気軽に行える点にあります。そのため、暗号資産やWeb3の世界を体験したことがない人でも、楽しく始められるのです。
また、Yay!のトークノミクスでは、ユーザーの属性に応じて役割が与えられます。例えば、クリプト領域に精通している人はNFT「Yay! Genesis(以下、Genesis)」を取得し、コミュニティの成長を引っ張る「Key Opinion Leader」を務めます。一方で、主にYay!既存ユーザーなどのクリプト初心者は、プールからNFT「Yay! Pal(以下、Pal)」を無償で取得でき、エコシステムに参加することが可能です。
このPalはデジタルペットのようなデザインのNFTで、バトルに参加させることによってユーティリティトークン「EMPLE」を獲得できます。他にも、サービスの長期利用やコミュニティへの貢献によってEMPLEを貯めることができ、これらはPalの育成に利用できます。
そして、Genesis保有者にはPalをミント(新規発行)する権利があり、プールに供給、またはマーケットプレイスで売却して、ガバナンストークン「YAY」を得られます。ミントしたPalは、もちろん自身で保有し、バトルを楽しむことも可能です。
このトークノミクスは、エコシステムの持続可能性にも十分に配慮されています。例えば、Palには寿命が設定されており、絶えず需要が発生するようになっています。これはNFTの供給過多による、価格崩壊を防ぐのに有効な仕組みです。またYay!には有料会員の料金、広告による外部収益があるため、安定したトークノミクスの形成につながっています。
Yay!は「暗号資産の最大のユーティリティはメタバース」であると主張しています。今後はゲームやDeFiなどと連携し、他のコミュニティを巻き込んだ、より大きなメタバース空間が形成されていくでしょう。Yay!は「P2E(Play to Earn:遊んで稼ぐ)」の仕組みも取り入れた、健全にエコシステムが循環するSocialFiとして、今後も注目したいサービスです。
2.Xアカウントの影響力が反映される「Friend.tech」
「Friend.tech(フレンドテック)」は、アーティストやインフルエンサーなど個人の活動者が、自らの強みをトークンとして価値化し、販売できるSocialFiです。
これはイーサリアムのL2(レイヤー2)として開発されたdApps(分散型アプリケーション)の一種で、2023年8月にベータ版がリリースされました。同年9月には、世界的アーティストのSteve Aoki氏が利用をスタートしたことで大きな話題を呼びました。
ベータ版の利用は招待制となっており、既存ユーザーから招待コードを入手し、Xアカウントと同期させることで利用できます。このXアカウント上の影響力は、Friend.techで取引を行ううえで大きなカギとなります。
というのは、活動者がFriend.tech内で発行できるソーシャルトークン「Keys」の価値は、X上での影響力に応じて変動するからです。活動者の人気が高いほど、Keysの価値も高くなり、得られる収益が多くなります。また需要と供給によっても価格は変動します。
そして、Friend.tech最大の魅力ともいえるのがDM(ダイレクトメッセージ)機能です。Keysを購入したユーザーは、活動者と直接メッセージでやり取りができます。つまり、お金を払ってフォローするような感覚です。やり取りの内容は完全にプライベートで、他人に知られる心配はありません。二人だけの交流を通じて、憧れのクリエイターやライバーとの距離を縮められるでしょう。
Keysを売買すると、通常5%程度の手数料がかかりますが、その手数料を分配する仕組みがあります。具体的には、Keysを発行する活動者は、設定によって購入者と手数料を共有することが可能です。購入者は本来受けられなかった還元を受けられ、活動者はファンに少しでも寄り添う姿勢を見せることができ、双方にメリットがあります。
Friend.techは先進的でユニークなプロジェクトですが、未知数の部分も多く存在します。たとえば、ベータ版で導入された招待制の仕組みが、正式版でも継続されるのかは不透明です。ホームページやホワイトペーパーでの情報公開も十分とはいえず、水面下でどのような動きが進んでいるのか、続報の発表が待たれます。
3.Avalanche版Friend.techと称される「Stars Arena」
「Stars Arena(スターズアリーナ)」は、2023年9月のリリース後、わずか2週間でトランザクション数が25万件に達し、その注目度の高さが伺えるプロジェクトです。イーサリアム・キラーとも呼ばれるプラットフォーム「Avalanche(アバランチ)」のCチェーン(コントラクトチェーン)上に構築されています。
Stars Arenaには、先ほど紹介したFriend.techと似たシステムが導入されており、Xアカウントを連携させることでプラットフォームへ参加できます。なおFrined.techでは、アカウント作成にあたって0.01ETHを入金する必要がありますが、Stars Arenaは初期費用が無料です。
ユーザーはAVAX(Avalancheのネイティブトークン)と引き換えに「Ticket」と呼ばれるソーシャルトークンを購入すると、トークン発行者と1対1でチャットができるようになります。
また、Ticketを購入せずとも活動者の投稿に対して投げ銭を送ることもでき、さまざまな形で発行者を応援することが可能です。
さらに、フィードは誰でも閲覧できるため、活動者にとっては収益を増やすきっかけになるほか、一般ユーザーは新たな「推し」を見つけられるかもしれません。
しかし、魅力的なプロジェクトであるStars Arenaですが、ローンチ後早々に、セキュリティ上のリスクが露呈しています。2023年10月、スマートコントラクトのシステムに生じていた脆弱性を突かれ、ハッキング被害に遭ったとのこと。すぐに被害額の9割を回収したものの、結果として約2万7,000AVAXの損失を生むことになりました。
ハッキング被害後、Stars Arenaは、すぐに新たなスマートコントラクトを構築しています。さらにPaladin Blockchain Securityへ監査を依頼し、セキュリティ体制の強化を図りました。今後は、ユーザーが安心して利用できるSocialFiとして、いかにしてシステムの安全性を保つかが鍵となりそうです。
4.個人情報不要、メッセージも暗号化される「Secretum」
「Secretum(セクレタム)」は、Solana(ソラナ)チェーンを基盤に開発され、高い秘匿性と安全性を実現したメッセンジャーアプリです。メッセージのやり取りのみならず、暗号資産の取引も可能です。
Secretumの安全性に対する徹底ぶりは凄まじく、それはシステムのさまざまな部分に現れています。まず、登録にあたっては、氏名や電話番号といった個人情報は不要で、Solanaウォレットのアドレスさえあれば始められます。
そして、やり取りされるメッセージはすべて暗号化され、ブロックチェーンネットワーク上の認証されたノードに分散して保存されます。暗号資産の取引には、独自のP2P通信システムが用いられており、外部から攻撃を仕掛けるのは困難です。
これまで、匿名メッセンジャーアプリといえば、「Telegram(テレグラム)」が主流でした。しかし以前から、テレグラムのセキュリティ体制を疑問視する声は少なくありません。実際に、2020年には2度の大規模なデータ漏洩を起こしており、5億人を超えるユーザーの個人情報が外部に流出しました。
Secretumは、匿名でのメッセージや通話、さらには暗号資産の取引が安全におこなえる画期的なSocialFiです。全世界で、Secretumがメッセンジャーアプリのスタンダードになる日も、そう遠くないかもしれません。
5.NFTでアイデンティティを形成「Monaco Planet」
最後にご紹介する「Monaco Planet(モナコプラネット)」は、2021年9月にローンチした、次世代SocialFiのパイオニアとも呼べるプロジェクトです。すべてのユーザーに平等な利益がもたらされるソーシャルメディアをめざし、Web3の世界の入口として役割を担ってきました。
元々、Monaco Planetは、従来のソーシャルメディアにはびこっていた、プラットフォームの運営者と広告主に利益が集中するシステムを問題視していました。あらゆるデータが運営者によって管理される特性上、ハッキング被害や不正の温床となり、人々のプライバシーが脅かされていたことも無視できません。
そこで、ブロックチェーンによってそれらの課題を一掃する、次世代のソーシャルメディアとしてMonaco Planetが生まれました。自らに関するデータを自らの意思で管理し、自由なコンテンツ発信によって収益を得る、SocialFiの原則を忠実に実現しています。
会員登録にあたっては、MetaMask(メタマスク)などのウォレットを作成して行います。自身のプロフィールページには、保有するNFTコレクションを展示でき、これらのNFTはユーザーの人となりを表す情報として機能し、オンライン上での信頼を裏付ける証拠となります。
同時に、共通の関心ごとや考え方を持つユーザー同士での新たなつながりが生まれるきっかけにもなるでしょう。
さらに、ユーザーは新たなコンテンツを制作したり、プラットフォーム上でディスカッションに参加したりすることでネイティブトークンの「MONA」を獲得できます。つまり、「write to earn(書いて稼ぐ)」が可能であり、コンテンツ作成自体がマイニングになるような仕組みです。
稼いだMONAはプラットフォーム内で様々な形で利用でき、例えば、広告を出したい場合に自分の投稿をプッシュしたり、メッセージを全ユーザーに配信するといったことが可能です。さらには、クラウドファンディングへの投資にも利用でき、マルチな用途を持つユーティリティトークンであるといえます。
またMONAは、ガバナンストークンとしての側面もあわせ持っています。MONAを保有すれば、コミュニティのアップデートや改善に関する提案、そして提案に対する投票を行えます。
なお補足として、Monaco PlanetおよびネイティブトークンMONAは、日本発祥の暗号通貨「モナコイン(MONA)」との直接的な関係はありません。それぞれ別々のプロジェクトですが、両者ともに、Web3が世の中に浸透していくことに貢献したのは間違いないでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は、昨今注目されているSocialFiサービスを5つご紹介しました。
SocialFiの領域自体、いまだ発展途上であるため、セキュリティやプライバシーの観点で改善が必要なプロジェクトもあるでしょう。どのサービスも、今後の発展に期待です。