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インバウンド受注「ゼロ」からの挑戦!Kaizen Platformのインバウンドマーケ(後編)

今回のソリューション:【マルケト】

〜インバウンドの受注「ゼロ」から急成長!Kaizen Platformに学ぶ、マルケトを使った「マーケティングオートメーション」の仕組み化〜

Kaizen Platform, Inc.は、「99%営業マンからの紹介」だった、新規顧客の獲得の改革に成功しつつある。同社に参画した「マルケト」ユーザー会・初代会長でもある宮下 毅さんの活躍により、インバウンドマーケティングの仕組みが整いつつあるのだ。

前編では、「細かいスコアリングの改善は後でも良い」「カスタマージャーニー通りに顧客は動かない」「資料をダウンロードさせるコンテンツマーケティングは古い」など、マーケティングオートメーションにおける実践的なお話をお伺いした。

※【前編】はこちらです

後編では、インバウンドマーケティングの要だと言う「インサイドセールス」の役割や、マーケ、インサイドセールス、営業がいかに連携していくべきかを中心に、詳しいお話を伺った。

マーケティングオートメーションの要、インサイドセールス

マーケティングオートメーションの仕組みが整ったところで、営業のすべきことが変わるわけではありません。ただ、今もチャレンジ中ではありますが、「無駄足」は減ったかと思います。そしてその理由は、インサイドセールスがきっちり仕事をこなすようになったからです。

マーケティングの仕組み化でもっとも重要だと言えるのが、実はこのインサイドセールスの存在なんですね。ここがうまくいかなかったら、インバウンドは売上にまでつながりません。そこでインサイドセールスの業務内容の設計には、とても力を入れていますね。

大きな戦略としては、マルケトで算出されるスコアの情報と、営業マンが理解できる情報とのギャップがあるので、そこをインサイドセールスが繋いで、「翻訳」していくことになります。

実際の活動としては、マルケトを見ながら、スコアが高い見込み顧客に電話をかけて、定性的な情報を掴んで報告します。実際に製品を買うつもりなのか、それとも勉強したいのか、競合と話はしているのか、といったことの見極めも大事です。

「会社説明」は営業マンがするべきことなのか?

また重要なのは、営業マンが受注するまでにこなしているルーティンワークを、インサイドセールスによって効率化することです。そのひとつが、「会社説明」になります。

営業では訪問の1回目で会社やサービスの紹介をすることが多いと思いますが、このコミュニケーションは電話で済ませることができます。

それらがインサイドセールスによってあらかじめ終わっていれば、営業は個別のお客様にカスタマイズされた部分から話ができます。例えば「このページを改善したいんです」という課題がわかっているだけで、営業としてはだいぶ楽ですよね。

他にもインサイドセールスの役割として重要なのは、意思決定者を初回の訪問に引っ張り出すことです。例えばエンジニアのWebマスターのような人から問い合わせがあったとします。でもKaizen Platformは、Webサイトをかっこよくするのではなく、売上をあげるためのツールなんです。なので、売上の責任を持っている人にも同席をお願いします。

会社紹介で1訪問、決済者に同席していただくので1訪問が必要なのはよくある話です。決して間違いではないと思うのですが、電話とメールでもできることなんですよね。営業マンの無駄足をなくす環境作り、という意味でも、インサイドセールスの重要な仕事だと思います。

デキるインサイドセールスは、「無駄な頑張り」をしがち!?

案件化するのがインサイドセールスの役割でもありますが、積極的に案件を捨てることも同じくらい重要だと思います。弊社では電話しても商談にならなかったり、まだタイミングではない時には「リサイクル」という場所に保存しておいて、1度スコアも振り出しから始めるようにしています。

簡単に「商談がデッドになった」というステータスにはしません。競合会社の社員だとしても、もしかしたら入社したいという人かもしれませんしね。リードがデッドになる時は「もう連絡しないでください」と言われたときだけです。

見込み顧客がお客様になるかどうかは売上規模からも予想できるので、ターゲット業界ごとの売上上位リストを数百件用意しています。もしそこに掲載されている企業さんであれば、インサイドセールスとしては案件化をがんばらないといけない。載っていなければ営業に渡すかどうか中間のラインになってくるので、見極める必要があります。

まだまだ温度感が低かったり、お勉強大好き君であったら、あまり話を長引かせずに、資料を送っていったんリサイクルに保存する。お客様にならない人との話を引っ張ることはしません。

インサイドセールスとしても、案件にならなかった見込み顧客がリサイクルから復活するルートも用意されているので、いつでもリサイクルに安心して入れられるんです。

一番無駄なのが、営業もできてしまうインサイドセールスが、まだ温度も高くないお客様にしつこく食い下がってしまうことです。お客様に対して時間もかかるし、商談に勝てる可能性も低い。

テクニックを持っているからこそがんばっちゃうんですが、それが無駄なんです。もう完全にお客様が買う気だ!というものしか渡さないぞくらいの意識改革をすると、みんなが幸せになるんですよね。

営業とマーケの連携で実現する、効率化とノウハウの蓄積

よりよい案件を作っていくために、営業サイドからマーケティング活動のフィードバックも行っています。SQL(※Sales Qualified Lead:営業活動によって作り出された案件)ミーティングを週一で実施し、インサイドセールスが渡す案件のレビューをしています。

インサイドセールスから営業へ気になる案件について「あの商談はどうなりました?」と聞くこともありますし、営業から「もらった案件のここが良くて、あそこは悪かった」という報告も必ずしています。案件化になるためのポイントも聞いて、インサイドセールスの精度が上がり、ノウハウが貯まる仕組み作りをしています。

セミナーの開催などでも、マーケと営業の連携が行われています。過去のセミナーの時に作ったメールやランディングページをデータごとにマルケト内でコピーして、あとはタイトルなどを修正していきます。

どういう人を呼びたいかという情報は、営業側にSalesforceのレポートで事前に出してもらっています。それを元にマーケが、マルケトから引っ張ってくるといった感じです。この連携により、誰に対して何を伝えて、どうなってもらいたいのかが明確なセミナーにもなります。

マルケトとSalesforceのリアルタイムな連動性が鍵

今のマーケティングでは「タイミングを逃さない」ことが非常に大事なので、スコアが100点を超えたら自社で使っているチャットツールのSlackにアラートが飛びますし、メールにも飛ばしています。営業マンと同じSlackのチャネルを共有しているので、誰でもいつでも確認できる状態です。

マルケトとSalesforceはほぼリアルタイムで連動しているので、それも非常に重宝しています。双方向に同期がかかっていることで、営業活動に対してマーケがサポートできることもけっこうあるんですね。

例えば、営業活動が終わったあとにSalesforceに結果や面談記録を書いてもらえれば、こちら側で適したコンテンツを送ってフォローすることもできます。

また、営業訪問のあとのWebサイトへの訪問トラッキングも可能です。面談後に同じドメインのアドレスから何人もブログを訪れていたら、面談後に誰かに話したことが想定されますし、提案していたものと違うページを見ていたら、営業の設計にミスがあったことがわかります。このようにリアルタイム性があるからこそ、お互いを補えることがあるんですね。

ツールの導入や、仕組みだけでは何も変わらない

インバウンドマーケティングでは仕組みづくりも重要ですが、その仕組みをきちんと回していくことはより重要です。

MQL(※Marketing Qualified Lead:マーケティング活動によって作り出された案件)、SQLのステップで商談化・案件化する。一連の流れをきちんと把握し、1つひとつ記録をつけていくことは欠かしません。

スコアリングも最初は精度が悪くて当たり前。その結果を記録し、きちんとフローをブラッシュアップしていくことが大事だと思います。そして、それをやっていくためには人の力が不可欠。ツールの導入手続きや設定はコンサルタントや代理店の方がしてくれますが、それだけでは意味がありません。

それぞれのプロダクトやサービスに合った、見込み顧客に刺さるコンテンツを魂を込めて作っていくことが必要です。マーケターは、セールス、マーケティングとお客様の全体を高い位置から見渡して、適切なタイミングでキューを出したり、シナリオを作っていく役割だと思っています。

いわば、オーケストラの指揮者の意識を持つことが、マーケティングオートメーションの価値をフルに引き出せる秘訣だと思います。(了)

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