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海外市場に挑戦し、2年で10万ユーザーを獲得。「Relux」のインバウンドマーケ戦略とは

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〜まずは現地へ飛べ!?データに基づいた投資判断から、SNSマーケティング、広告運用まで。海外からの登録者数を3倍に増加させた、ゼロからのインバウンドマーケティング戦略とは〜

来たる2020年に向け、訪日外国人向けのマーケティング、すなわちインバウンド・マーケティングを強化する企業が増えている。

しかし実際には、どこの市場(国・地域)を選ぶべきなのか、どのように現地調査を行うべきかなど、越えるべきハードルがいくつもある。

そんな中で注目すべきなのが、一流ホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux」を運営する株式会社Loco Partnersだ。

▼一流ホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux」

同社は、最も成果を出せると判断した香港・台湾への集中的な投資を行い、自社の強みを生かしたSNSマーケティングで、2年間で10万人のユーザーを獲得することに成功した。それまでは全体の5%ほどであったインバウンドのReluxカスタマー比率を、その3倍以上に成長させたという。

今回は、同社Global推進部で責任者を務める門奈 剣平さんに、インバウンドの戦略の立案から、PDCAの回し方まで、詳しいお話を伺った。

インバウンドに特化した社長直下の組織「Global推進部」

私は新卒で2人目のメンバーとして、Loco Partnersにジョインしました。ディレクター業務、Webマーケや外部との事業提携といったことを経験して、現在はGlobal推進部のGeneral Managerをしています。

Glonal推進部のミッションは、台湾や香港、中国、韓国といった海外からのユーザーを獲得することです。今は10名ほどの組織なのですが、中国、韓国出身のメンバーが多いですね。日本語と母国語に加えて英語もできる、語学に強みのあるチームです。

弊社はもともと、営業、マーケティング、エンジニアといった機能別の組織なのですが、Global推進部だけは敢えて、社長直下の独立した事業部になっています。

その理由は、インバウンドに特化して、KPIを独立して管理するためです。

部署内には、技術やデザインを除いたマーケティング、カスタマーサポート、アライアンス、法務といった担当者がおり、部単体でほぼ全ての仕事が完結するような組織になっています。スタートアップの中に、もうひとつスタートアップがあるようなイメージですね。

このような形でチームを作ったことは、結果的には非常に良かったと思っています。今は発足から2年ほどが経ち、以前は全体の5%ほどだったインバウンドの割合も、全体の15%ほどまで拡大させることができました。

旅行者数、親日性、SNS普及率…勝てる市場の「選び方」とは

そもそも発足当時は、インバウンドという概念そのものが、今のように注目されてはいませんでした。しかし訪日旅行者の市場自体は、毎年20%で成長していたので、インバウンドはこれから業界の台風の目になっていく、と感じていました。

最初から進出先の候補はアジアに絞っていました。

さらに、最初に攻める候補は「市場の規模と難易度」から決定しました。規模は、その国の市場の成長速度や訪日旅行者の数です。難易度は、その国の「親日性」や、日本旅行への「成熟度」で測っています。

結果的には、まずは香港と台湾に集中していくことに決めました。市場も大きく、また難易度という面でもFacebookやGoogleの利用率が日本と近く、国内で成功したSNSマーケティングのノウハウを活かせると考えたためです。

また香港や台湾の旅行者は、何度も日本に来られる「リピーター」が多いんですよね。そのため「深い日本体験」に興味を持っている点でも、日本人と近しいユーザー層だと判断できました。

「エアチケットドリブン」で、現地の会社300社から情報収集

こうした海外の現地情報は全て、自社でリサーチをしています。社内では「エアチケットドリブン」と呼んでいるのですが、何か海外で気になるデータがある場合、まずは「その国へ行くための航空券」をとってしまうんです。

そして、現地の旅行代理店や、活躍しているスタートアップ企業にアポイントを取って、「何か一緒にできないか」と提案をしながら、情報収集もしていくんですね。

▼現地に赴き、現地の企業から学ぶ

Global推進部では、メンバーはだいたい月に1回のペースで海外出張へ行っています。私は事業を立ち上げてからすぐに上海へ行ったのですが、当然その時は現地の企業と何のつながりもなかったので、ひたすら電話をしてアポイントを取っていきました。

結果的に、これまでチーム全体で300社ほどの海外企業と商談してきています。こうして得た知見や感覚があったからこそ、インバウンド戦略を日毎にブラッシュアップできたと感じています。

インバウンドでは「旅先に日本を選んでもらう」動機づけがキモ

そしてマーケティングを行うチャネルですが、これは大きな迷いもなく、Facebookを中心に置きました。その最大の理由は、国内向けFacebookで既に実績が出ており、ノウハウを持っていたためです。

※同社のSNSマーケティングに関する記事はこちら

Facebookに投稿するコンテンツについては、日本向けに作ったものをアレンジしている他、独自のコンテンツを作るなど色々と試していきました。

でも、最初の3ヶ月は、全くコンバーションである「予約」に至りませんでした。その時は、闇の中にいるような気持ちでしたね(笑)。でも、国内のマーケティングでも同じように暗中模索の時期があったので、我慢強く工夫を重ねました。

その中で痛感したのは、当たり前なのですが、海外の人にとって、日本へ旅行に行くチャンスはそうそうない、ということです。あっても、数年に1度くらい。そこがやはり、国内向けのマーケティングとは大きく異なるところかなと。

ですので、旅行の予約をしていただく以前に、「日本への旅行」に対して、前向きな気持ちを持ってもらうことが必要でした。

そのためまずは、東京や、箱根、富士山といった、海外からの認知度が高いエリアやワードに集中して、綺麗な温泉や絶景の画像を投稿しました。

▼実際のFacebook投稿、東京(左)、京都の町家(右)

日本では反応が薄かった写真などもテストしてみて、インバウンドならではの成功事例をひとつずつ発見していきましたね。

例えば、京都の町家の投稿はすごく好評でした。当時の通常投稿の10倍以上シェアされたんですよ。

よくよく推察すると、町家は1枚の写真で、和造りの立体感や、京都の街の雰囲気が盛り込まれており、「和」を代表しているのだなと気が付きました。こういった「外国人ならではの視点」は、実際にやってみないとなかなかわからない部分かなと思います。

結果的にFacebookアカウントは、Reluxにおいて海外からの流入経路の60〜70%を占めるという、大きなチャネルに育てることができました。

認知の拡大後は、ユーザー獲得単価を徹底的に下げる工夫を

他にも、当初はまず認知を拡大するために、既に現地マーケットに認知されている有名ブロガーや現地企業とのアライアンスをかなり積極的に行いました。例えば、台湾では主力銀行6行と一気に業務提携をしました。

そうやって認知をある程度獲得してから、検索に依存するリスティング広告や、SNS広告の投資を増やしていきましたね。

ただ海外の広告市場は、クリック単価が安い一方で、コンバージョン率が上がりにくいんですね。弊社で言うと、予約という行動を起こすまでの「惹きつけ」が難しい傾向があります。

ですので、私たちはその傾向を逆手に取って、入り口の獲得単価を徹底的に下げ、同じ予算でもより多くの人にリーチできるように、試行錯誤を重ねました。

実際、日本での実績と比較したときに、今は1ユーザーあたりの獲得単価を、3分の1から5分の1まで下げることができました。コンバーション率が悪くてもカバーできるように、入り口を広げることができたということですね。

このような数字を実現できたのは、細かいPDCAをしっかり回すことで、積み重ねてきた部分が大きいと思います。

▼日々のMTGでは数字を振り返る

Global推進部では、コンバージョンに至る道筋を分解して、各ファネルごとの数字を朝礼で毎日チェックしているんですね。例えばFacebook広告のリーチ数、そのクリック率、Relux上の会員登録率、そして予約率といったものです。

日々データを見ていれば、わずかな浮き沈みに対しても違和感を感じられるようになります。それに気がつけるチームであることで、PDCAを最速で回せるようになると思っています。

2年間で、インバウンド会員10万人を突破!次に目指す市場は…

こうした地道な取り組みを半年ほど続けたタイミングで、やっと数字が徐々に伸びてきました。

結果として2年間で、インバウンドの旅行者の会員数は、10万人を突破しました。これはRelux全体の予約数の、15%ほどを占めています。当初は5%だったので、大きく成長させることができましたね。

今では、成功したノウハウを国内のマーケティングチームにもシェアしています。例えば動画コンテンツや、スライドショーの順番などは、実際に国内でも取り入れたりしています。

今年からこれらの経験を生かして、中国、韓国でもマーケティング活動をスタートしています。弊社のビジョンである「日本を代表するグローバルトラベルエージェント」になるため、まさに一歩を踏み出したところですね。(了)

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