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  • 加留部 有哉

伸び悩む売上は、営業チームの力で解決。エクセル管理からの脱却や、テレアポ効率化の事例を紹介!

「営業は人間力の勝負」という言葉は、営業経験者なら共感できるのではないでしょうか。属人的で効率化が難しい営業活動ですが、様々なITツールの登場により、その環境も変わり始めています。ツールの活用により、新規顧客の獲得から顧客情報の管理まで、効率化できる領域は広がっています。

SELECKでは今まで、最先端の「強い営業チーム」の事例を取材してきました。この記事では、今までの取材を参考に、営業マンの力を最大化する方法を見ていきましょう。

限界が訪れるエクセルでの営業管理に、社内システムを導入

顧客情報の管理や分析といった業務で、エクセルをフル活用している人は多いのではないでしょうか。アパート経営プラットフォーム「TATERU」を運営する、株式会社インベスターズクラウドでも、営業マンはエクセルを使って個々で案件を管理していました。しかし、エクセルによる顧客管理にも限界が訪れ、さらなる効率化を進めるために、社内システムの構築に踏み切りました。

使われる社内システムをどう作る?!エクセルとの格闘から脱却しMAまで構築した方法

当時、営業マンは自己流でエクセルの資料を作成していました。そのため、営業チームの成果分析をするときは、全員分のエクセルデータを一箇所に集め、途方も無い時間をかけて集計をしていました。データ量が多くなると、途中でフリーズしてしまい、作業がやり直しになることも…

その問題を解決するため、社内システムの構築に踏み切った、インベスターズクラウドの執行役員である吉村さん。まずは、集計しやすいようにデータ入力のフォーマットを統一することが、営業効率化の基本です。

Excelの場合、各々が好きなようにデータを入力してしまうので、情報の種類がバラバラになってしまいます。そのため「誰がどの顧客を担当していて、いつ何をしたのか」という情報を、システムに同じフォーマットで書き込める仕組みを用意する必要がありました。

新規の社内システムを構築するとなると、現場からいくつもの要望が出てきます。しかし、それらをすべて受け入れてしまうとシステムは複雑になり、結果として誰にも使われなくなってしまいます。そのため、その要望を「翻訳すること」が重要です。

また、重要なのは、ユーザーである現場の社員の「要望」をしっかりと経営的な表現に翻訳して経営陣に伝えることです。例えば社員が「新規顧客の情報の入力を楽にしたい」と言っているとします。それを経営的な表現に変えると「新しい機能を実装することで、現状◯分かかっている入力作業が△分になり営業効率が上がります。」という言い方になります。

社内システムが難しい組織には、ITツールを入れる選択肢も

社内システムは自社に最適化できる反面、構築・運用に大変な労力を要します。そこで、アナザーレーン株式会社では、既存のITツールを駆使することでエクセル管理から脱却する道を選びました。クレジットカードの決済代行サービスを展開する同社では、情報管理ツール「FileMaker」を活用し、6万件を超える顧客管理を実践しています。

脱・エクセル!62,000件の営業見込みリストを正確に管理するビジネス情報管理ツール

真の営業力を身に付けるためには、ニーズが顕在化していない状態で営業する「Push型営業」も重要です。Push型の営業で成果を残すためには、営業先との過去のやりとりが時系列で並んでいることが重要だと、営業部長である川村さんはおっしゃっています。

当たり前のような話ですが、過去営業先とどのようなやり取りをしていたか、といったことをストレスなく時系列で「正確に」把握することが、循環するチームマネジメントにおいては重要なことでした。それはエクセルではもう限界だと感じ、FileMakerを入れ運用し始めたのが、2013年のことです。

左側にアプローチ先の情報を記入してあり、右側に接触履歴を次々と記入していくようなベーシックな使い方をしています。HPに問い合わせがきたものも、自動で通知が飛ぶようなカスタマイズもしています。あとは、チャットワークとも連動して、FileMakerの更新があればチャットに飛ぶようにもなっています。

エクセルから脱却し、正しく営業活動の履歴を扱うことで、営業の効率化ができそうです。

テレアポの生産性を上げる通話システムとは

新規のアポを取る手法として、テレアポはまだまだ主流の方法です。リストの上から順に電話をかけるテレアポには、大きな改善の余地がありそうです。

スマートフォン経由で魚を注文できるアプリ「魚ポチ」を運営する、株式会社フーディソンでも、飲食店への営業活動は欠かせません。以前は営業案件を紙で管理していたようですが、テレアポのIT化によって、効率的で強い営業組織に変化しました。

アナログな営業組織をデジタル化!魚をスマホで注文できる「魚ポチ」の躍進の裏側

弊社はもともとテレアポなどの営業活動も紙で管理をしてました。これだと、後から見た人が把握することも難しく、営業活動の分析もできません。そのため、営業活動の管理をデジタル化しようと考えました。

そして、せっかく管理をデジタル化するなら、テレアポ自体も効率化したいと考えました。通常のテレアポは番号を毎回電話機に打ち込むと思いますが、この作業を効率化するために、営業マンが見る管理画面からボタン1つで電話ができるサービスを検討し始めました。

テレアポのIT化により、PCから1クリックで簡単に発信できるようになり、営業ステータスの入力もシステム上でスムーズに行えるようになりました。結果的に、1日にかけられる電話の件数は1.5倍に増加し、それに伴い受注件数も増加したそうです。電話を手に取り、番号を入力して、結果を残す。この煩雑なフローを効率化するテレアポのIT化は、営業の効率アップに大きく貢献することでしょう。

▼実際に開発したコールシステム

テレアポ時の設計次第で、訪問回数も削減

テレアポの内容も、工夫次第で生産性を上げることにつながります。Kaizen Platform, Incでは、インサイドセールスと呼ばれる人が、営業をサポートしています。インサイドセールスは見込み顧客に対して電話をかけますが、ただアポを取るだけの仕事ではありません。「営業を効率化すること」がひとつの目的となり、テレアポの内容もしっかりと設計されています。

インバウンド受注「ゼロ」からの挑戦!Kaizen Platformのインバウンドマーケ(後編)

また重要なのは、営業マンが受注するまでにこなしているルーティンワークを、インサイドセールスによって効率化することです。そのひとつが、「会社説明」になります。

営業の効率化をするためには、極力無駄を省くことが重要だと、同社でマーケターを務める宮下さんは語っています。会社説明を電話で終わらせたり、あらかじめ電話でニーズや課題感を探ることで、営業の効率アップを図っています。

営業では訪問の1回目で会社やサービスの紹介をすることが多いと思いますが、このコミュニケーションは電話で済ませることができます。

それらがインサイドセールスによってあらかじめ終わっていれば、営業は個別のお客様にカスタマイズされた部分から話ができます。

また、最初の訪問から意思決定者に同席してもらうことも、電話でお願いするそうです。

他にもインサイドセールスの役割として重要なのは、意思決定者を初回の訪問に引っ張り出すことです。例えばエンジニアのWebマスターのような人から問い合わせがあったとします。でもKaizen Platformは、Webサイトをかっこよくするのではなく、売上をあげるためのツールなんです。なので、売上の責任を持っている人にも同席をお願いします。

「訪問しない」という選択肢を取る企業も

最後に紹介する営業効率化の事例は、そもそも訪問に行かないという手法です。
法人向け名刺管理サービスを扱うSansan株式会社では、デモ用のスキャナを担いで訪問に行く日々を送っていたそうです。そのままでは負担も大きく、顧客を爆発的に増やすことができないという課題にぶつかり、全社的に「営業の訪問禁止」意思決定をしました。

名刺管理のSansan 顧客拡大の契機は「訪問禁止!」オンライン営業で商談が倍増

ほとんどの営業活動をオンラインで行い、商談の際にはV-CUBEというWeb会議システムを使って、オンラインでの商談に取り組みました。結果的に、商談の数は2倍にもなり、1日に8件もの商談をこなす営業マンも出てきました。

▼V-CUBEでのオンライン会議イメージ

一方でこれ以上、営業担当1人あたりの生産性を上げるのも物理的に難しい状況にありました。だから腹をくくって、一気に推し進めました。新規営業先にアポイントを取るチームが、以前は「訪問させて下さい」とお願いしていた部分を、「オンラインで商談させて下さい」と伝えるように変えたんです。

結果が出たのももちろんですが、この取り組みのおかげで営業生産性がかなり高まったと感じています。30分の商談のために、往復2時間かけて訪問する、ということがなくなりましたし。

様々なITツールがローンチされる中、それらを活用することで、営業組織も変化を見せはじめています。少しでも営業を効率化したいとお考えの方は、試しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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