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  • 永田 将勝

オンボーディングとは?新入社員が活躍する、組織作りの事例とツール【計7選】

組織を成長させる上で重要な、採用活動。しかしそのゴールは、あくまでも採用した人材に活躍してもらうことです。

新しく組織に参加するメンバーは、ゼロから人間関係を構築したり、組織のルールや業務を理解するなど、初期に様々なハードルを乗り越えなければなりません。

そこで、これらの問題につまづくことなく、早期に成果をあげられるよう組織としてサポートする仕組みが「オンボーディング」です。

今回はオンボーディングを成功させるためのポイントについて、SELECKで取材した実際の施策事例をふまえてご紹介します。

目次

  1. オンボーディングとは
  2. オンボーディングは、なぜ重要か
  3. 事例① 現場の上司に加えて、役割ごとにメンターをつける
  4. 事例② 困った時に気軽に相談できる「駆け込み寺」を作る
  5. 事例③ 「行動規範の正しい理解」と「横の繋がり」を強化する
  6. 事例④ 入社3ヶ月後の目標とアクションプランを表明する
  7. オンボーディングに活用できるツール【3選】

オンボーディングとは

オンボーディングは、新しく組織に参加したメンバーが早期に活躍できるよう、組織としてサポートする仕組みのことです。

例えば、「組織や業務内容に関するインプットを進める」「ランチを設定してメンバーとの交流を深める」「専属のメンターがついて疑問に答える」などの施策があります。

オンボーディングは、なぜ重要か

働き方が多様化し、優秀な人材を採用する難易度が高まっている中、採用した人材が活躍できる環境を作り、いかに組織に定着させるか? は重要なテーマです。

しかし、特に組織に参加した初期の段階では、「不明点が多い」「それを誰に聞けば良いのか、どこに情報があるのかわからない」など、多くのハードルが発生します。

そこでつまづくことなく、成果をあげるまでの体験をスムーズに進める仕組みがオンボーディングであり、「従業員体験(Employee Experience)」(※)を良いものにするためには不可欠です。

※従業員が働くことを通じて得られる体験

【参考記事】「Employee Experience(EX)」とは? 企業が「従業員体験(※)」を向上させるべき理由

ただ、オンボーディングを現場任せにしてしまった結果、事業部の状況によってサポート体制にバラツキが生じてしまう…というのも、ありがちなケースです。

そのため、組織として体系立ったオンボーディングを設計し、初期体験の品質を一定に保つことで、その後、活躍できる可能性を高めることが大切です。

このような背景で導入されているオンボーディングですが、実際に企業でどのように運用されているのかについて、SELECKで取材した事例をふまえてご紹介していきます。

事例① 現場の上司に加えて、役割ごとにメンターをつける

【参考記事】会社の印象は1ヶ月で決まる!?社員エンゲージメント85%に挑む、日本オラクルの挑戦(日本オラクル株式会社)

新しく組織に入ったばかりのメンバーにとっては、上司の存在が頼りになります。ただ、プレイングマネージャーも増えている中で、全てを上司がサポートしきるのは難しいケースもあるのではないでしょうか。

その解決策として参考になるのが、現場の上司に加えて、2人のメンターが役割をわけて新入社員をサポートする、日本オラクル株式会社の事例です。

同社では、上司に聞く必要のない細かい質問への対応を「ナビゲーター」という現場の先輩社員が担います。

ナビゲーターは、現場の先輩社員が務めます。経費精算や勤怠管理の方法から、この件はこの人に聞くとよいなど、わざわざ上司に聞かなくても良いような細かい部分をサポートする役割です。

また、現場だけでなく、社員エンゲージメント室の社員が「サクセスマネージャー」として週1時間のミーティングを実施し、新入社員をサポートしています。

そしてサクセスマネージャーは、社員エンゲージメント室が担当しています。入社者の「成功」にコミットする役割で、研修期間である5週間の間は毎週、1時間ずつ全員とミーティングをし、上手くいっていること、そうでないことを共有します。

このようにメンターを役割ごとに複数人つけることで、新入社員にとしては「誰に何を相談すればよいか?」が明確になり、且つ、メンター側の負担も分散させることができます。

事例② 困った時に気軽に相談できる「駆け込み寺」を作る

【参考記事】急拡大する組織でも「チャレンジ」できる環境を。LINE社のマネジメントを支える仕組み(LINE株式会社)

また、社内制度の利用ルールや、備品の管理場所など、とにかくわからないことが多い… というのも、新メンバーにとって大きなハードルになります。

新しく入ってきた人って、わからないことがたくさんありますよね。その時のための「駆け込み寺」として、なんでも気軽に聞ける場があるだけですごく安心感があると思っていて。オンボーディングの重要な一部だと捉えています。

そこでLINE株式会社では、あらゆる質問の受付窓口をオンライン上で作り、バックオフィス部門が新メンバーの疑問に回答をしています。

「周囲のメンバーは皆忙しそうだから、些細なことは逐一質問しづらいな…」という時でも、気軽に質問できる体制を敷いています。

LINEを通じて社員がわからないことをなんでも聞ける、「LINE CARE」という社内サービスを2017年3月から本格運用しています。

「PCの調子が悪いです」というシステム系の質問から、「このサービスにこういう要望を投げたいです」といったことまで、本当になんでも投げてもらっていますね。

▼気軽にオンライン上で相談が可能

さらにオフィス内に専用のサービスカウンターが設置してあり、対面でのサポートが受けられる環境も用意されています。

メッセンジャーを通じてだけではなく、オフィス内にLINE CAREのサービスカウンターも設置しています。そこにふらっと行って相談しても、同じサービスが受けられるようにしているんです。

▼相談窓口として、サービスカウンターも設置

このように、オンラインとオフライン双方に相談窓口を設置することで、人によって問い合わせたいチャネルを選択できるようにしています。

事例③ 「行動規範の正しい理解」と「横の繋がり」を強化する

【参考記事】メルカリをコピーするだけではダメ。設立9ヶ月で200名を超えた、メルペイの組織づくり(株式会社メルペイ)

組織によって異なるカルチャーや求められる行動規範を早期に知ってもらうことも、オンボーディングに必要な要素です。株式会社メルペイのオンボーディングプロセスでは、ミッションとバリューの理解が非常に重視されています。

例えば、「All for One」は「皆で助け合って頑張ろうね」ではなくて「ミッション達成のため・成功のために全員があらゆることをやっていく」という考え方ですよ、といった話をするイメージです。

これは、誤ったバリューの解釈で動かないように、オンボーディングの中でも全社的に特に大切にしている部分ですね。

また、よりフラットに意見を共有しあえる横の繋がりを強化するため、食事会を設定したり、チャットツール上で同期グループを作ることで、コミュニケーションが生まれる仕掛けを作っています。

他にも、同じ入社タイミングの方に「同期会」を開いてもらっていたりします。「月に2回、同期でごはんに行ってください。ランチで2,000円まで補助します」といった形で、コミュニケーション施策のひとつとして実施していますね。

また、社内コミュニケーションツールのSlack上に「同期のチャンネル」も都度作成しています。

事例④ 入社3ヶ月後の目標とアクションプランを表明する

【参考記事】組織への「帰属意識」を育てる!オンボーディングプログラム「ペパボカクテル」の全貌(GMOペパボ株式会社)

オンボーディングでは周囲がサポートするだけでなく、早期に成功経験を積めるような、本人のコミットと行動を促していく必要があります。

そこでGMOペパボ株式会社では、新メンバーが入社3ヶ月後のゴールとそのためのアクションプランをシートに書いて、意思表明をしています。

こちらから目標を与えるのではなく、自分自身でやっていきたいことを表明してもらうんです。やっていきシートには、入社3ヶ月で「どのような状態になっていたいか」というペパボカクテル終了時のゴールと、そこから落とした月ごとの目標と具体的なアクションプランを書きます。

▼目標設定とアクションプランのイメージ

そうすることで、入社時の意思表明を後から振り返ったり、他メンバーのシートを見ることで、モチベーションを生むきっかけを作っています。

入社した時って、「自分はこういうことをやっていくんだ」という気持ちが最も高まっている時だと思うんです。

(中略)それを「文字にする」ということが結構大事だと思っていて。残しておくことで、入社当時の思いを振り返ることができますし、他の人のシートも見られるので、自身のモチベーションにも繋がるのかなと思っています。

それでは最後に、オンボーディングを実施する際に活用できるツールをご紹介します。

オンボーディングに活用できるツール【3選】

HR Onboard

オンボーディング時のトラブルとして、「これをやっておいてください」という依頼が、メールやチャットに溜まってしまい、どこまでを済ませたかわからなくなる…というものがあります。

そこで活用できるのが、「HR Onboard」です。

「チームメンバーからのメッセージ」「やるべきことのリスト」「知っておくべきこと」といった情報を事前にリスト化しておきます。

そして、リンクを送るだけで、新メンバーは整理されたそれらの情報を確認することができます。

例えば、「初日のスケジュール」「オフィス周辺のカフェ情報」などの情報が見れたり、「メンバーリストをチェックする」「ツールのアカウント登録を済ませる」といったアクションを管理できます。

また、人事は管理画面から、オンボーディング中のメンバーのタスク進捗を把握することもできます。

そして、進捗が遅れているメンバーに対しては、自動的にリマインドメールが送られるため、個別にコミュニケーションを取る工数を削減することができます。

Talmundo

Talmundo」は新メンバーが入社する1ヶ月前〜入社後1ヶ月間に渡って、段階的にオンボーディングを進めるツールです。

まず雇用契約を結んだ時点で、ツール上で今後のスケジュールが伝えられます。

また、一緒に働くチームメンバー向けに、本人からプロフィール情報や選考の感想など伝えることで自分紹介をします。

入社3週間前になると、オフィス情報やCEOメッセージなど、組織を知るためのコンテンツが公開され、2週間前には本人が担う予定の役割や組織に関するクイズを通して、知識を深める体験へと進みます。

▼オフィス風景を360度ビューで公開することもできる

入社1週間前になると、初日のスケジュールなどの詳細が共有され、入社後はインプット用のコンテンツが順次公開されていきます。

そして、入社1ヶ月後のタイミングで組織に対する印象や、オンボーディングプロセスに関するフィードバックに回答してもらいます。

このように、Talmundoは入社前から少しずつ準備を進めることができ、また、その体験へのフィードバックを集めることで、より網羅的にオンボーディング体験を最適化させるツールです。

Kahoot!

Kahoot!」は、誰でも簡単にクイズを作成することができるツールです。

【参考記事】Facebook社も愛用!社内教育からプレゼンにも、楽しく学べるクイズツール「Kahoot!」

使い方次第では、チームビルディングやプレゼンテーションなど、ビジネスのあらゆる場面で活用することが可能です。

例えば、オンボーディング期間にオフィスの使い方に関するクイズを作成して、新メンバーのインプットを楽しくサポートすることもできます。

▼クイズを通した、インプットにも活用できる

Facebook社でも営業チームの研修に導入されており、組織や業務の理解度をするトレーニングに活用されてみてはいかがでしょうか?

「チームのパフォーマンスを最大化したい」と思うあなたへ

当媒体SELECKでは、これまで600社以上の課題解決の事例を発信してきました。

その取材を通して、自律的な成長を促す「伴走型のマネジメント」が、組織づくりにおいて重要であるという傾向を発見しました。

そこで開発したのが、1on1の運用と改善で、メンバーの内省を促進し、パフォーマンスを最大化するツール「Wistant(ウィスタント)」です。

進化したマネジメントを体験したい方は、ぜひ、チェックしてみてください。