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仕事の生産性を向上させるために「やめたこと」【12社まとめ】
~それって本当に必要ですか?生産性を向上させるために「やめたこと」を各社に聞いてみました~
ミーティング、資料作成、活動報告、社内外との調整業務….
慌ただしい日々の中で、私たちは様々なことに取り組まなければなりません。
その中で、毎日当たり前のように行っている業務が、気づかないうちに多くの時間を奪い、私たちの生産性を下げてしまっているということも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、生産性を高めるために「やめたこと」というテーマで、SELECKの過去取材先への取材と、編集部によるSELECK全記事からの抜粋という形で、計12社のお取り組みについてご紹介させていただきます!
目次
今回ご紹介する12社が「やめたこと」の一覧はこちらです!
- 39の定例会議(サイボウズ株式会社)
- CSにおける個人メールの利用(他1件)(株式会社アトラエ)
- ダイレクトメッセージ(他2件)(株式会社ココナラ)
- 非効率なルーティンワークの放置(株式会社アプリボット)
- すぐにやらなくても良いことの後回し(株式会社モバイルファクトリー)
- FAX・契約書の送付作業(株式会社ウェルクス)
- 訪問営業(Sansan株式会社)
- 複数ツールでのタスク管理(スローガン株式会社)
- マイクロマネジメント(株式会社フリークアウト)
- 紙での情報管理(株式会社石崎電気製作所)
- タスクの棚卸し会議(株式会社クレイ)
- 多くの人を巻き込む事業開発(株式会社ドリコム)
①サイボウズ株式会社
取材先:開発本部 田中 裕一さん
「開発部門の39の定例会議を、すべてやめました」
GMOペパボ様のスーパーリセットのお取組を参考に、開発部で実施していた計39の全ての定例会議を、2016年9月12日〜16日の期間限定で廃止いたしました。
その背景としてはまず、「業務プロセスが、必要以上に重厚になっていないか?」という課題意識がありました。ミッション達成のために、意味ある業務だけをできているか、見直しが必要だと考えていました。
このような思い切った取り組みを実施した理由としては、定常化している業務を見直す際に、1つ1つを精査しているとコストがかかると考えたためです。一旦、すべてやめてみて、本当に必要であるものを考える機会を作りたかったんですね。
▼私たちの日常の中で、一定の時間を要している定例会議
▼実際に辞めた会議総数(対象:東京および松山の開発本部140名が対象)
- 各チームの週一定例 17個
- 各チームの毎日の会議 4個×5営業日
- 2週に1回の会議 1個
- 月イチの会議 1個
期間中、会議でのコミュニケーションができない部分は、「kintone(キントーン)」や「Slack(スラック)」を利用したオンラインコミュニケーションで補いました。
▼Slackのイメージ画像
実際に試してみたことで、実は朝会は集中力の妨げになっていたことや、定例会議をなくすことで、逆に必要な際は突発的にミーティングを入れやすくなることがわかりました。
一方で、遠方拠点のメンバーとは、定例がないとコミュニケーションをとる機会が減り、意思疎通が難しくなることがわかりました。また、何かしらのプロジェクトを進めているようなタイミングでは、定例会議があった方が良いという声があがりました。
他にも社員の声として、下記のようなものがあがりました。
<肯定的な意見>
・明らかにMTG時間が減ったという体感のあった。
・定例会議が必要か否かという議論をする機会となり、スキップのルールが明確になった。
・進捗確認のための会議は不要であり、あくまで議論が必要な時だけ会議を実施するという方針を固められた。
・参加者がその会議にどういう意味を見出しているかの言語化が促された
<否定的な意見>
・今回は一律で定例会議をしないという施策だったので、「定例会議=悪」という見方が一部に広まっていたように感じた
実際にやってみてわかったことを踏まえ、これまでは定例として実施していた会議であっても、議題がない、もしくは少なくて、急ぎでない場合はスキップするようになりました。
実際にやめてみることで、今までやっていたことの妥当性を、皆で議論する良い機会になったと思います。
②株式会社アトラエ
取材先:Greenクライアントサポート 平井雅史さん
「カスタマーサポートに、個人メールを利用するのをやめました」
弊社は求人・採用サービス「Green(グリーン)」を運営しています。Greenでは、クライアント企業様のインタビューを掲載しているのですが、その執筆をお願いしている外部ライターさんや、クライアント企業様・求職者様とのやりとりの窓口になっているのが、カスタマーサポートの5名のメンバーです。
以前は個人メールとメーリングリストを利用して、お問い合わせ対応をしていたのですが、下記のような問題点がありました。
・「自分が対応するもの」「対応はしないが、確認はしておきたいもの」「確認しなくてもよいもの」があるが、「確認しなくてもよいもの」まで、全てメーリングリストに共有されていた。
・担当者の外出時に、個人宛に連絡が来た場合、すぐに対応できなかった。
・対応者の割り振り、対応の進捗が不明瞭だった。
その課題を解消するため、カスタマーサポートツールの「Zendesk(ゼンデスク)」を導入しました。
▼Zendeskのイメージ画像
Zendeskを利用する際は、クライアント企業・求職者・ライターとの連絡用に、writer@xxxようなアドレスを発行します。このアドレス宛に送られたメールが、全てZendesk上で共有される形です。
メールを受け取る側にも、常に同じアドレスが表示されるので、こちら側では誰が返信しても問題ありません。誰でも対応できるので、個人メールを利用していたときに比べると、対応スピードが向上しました。
また、Zendeskでは過去のやりとりが一覧で確認できるため、毎回履歴を追う必要もなくなりました。さらに、非エンジニアでも更新できるヘルプページ構築機能があるため、その開発工数も削減できました。
「煩雑なコピペ・ダウンロード作業をやめました」
クライアント企業のインタビュー記事作成フローの中で「kintone(キントーン)」を活用し、大きく生産性を向上させることに成功しました。
以前は下記のようなフローをとっていました。
ここで発生する問題としては、テキスト情報のコピペ作業が発生することです。その中で、文面を整える作業も発生していましたし、データ受領時には毎回、ダウンロード作業が発生していました。
ひとつひとつの細かい作業が積み重なって、決して無視できない時間が、これらの業務に割かれていたんですね。
そこでこれらのフローを効率化すべく、「kintone(キントーン)」を導入しました。すると、あらゆる情報がkintone上に集約され、下記の通り、コピペやダウンロードにかかる時間を大幅に削減できました。
③のステップにおいては、フォームクリエイターというkintoneと連携したツールを活用しています。
以前は、クライアントにヒアリングした情報を、ライターへ送付するメール文に書き換える作業が発生していたのですが、フォームクリエイターを使うと、情報をメール文として適切なフォーマットに編集できるので、作業効率が向上しましたね。
③株式会社ココナラ
取材先:CEO 南 章行さん
「会議室でミーティングすることをやめました」
会議室でミーティングをすると、会議室を予約したその時間まで会話が開始されず、「開始時間待ち」という形で時間を浪費する傾向がありました。
また、座って話すため、つい30分や1時間などキリがよい時間までゆったりしてしまうという問題がありました。
そこで会議室でのミーティングを減らそうと考え、執務スペースにスタンディングテーブル、ファミレス風テーブルといったプチミーティングスペースを作りました。
そうすることで、必要に応じてすぐにミーティングを実施し、要件が終わったらすぐ解散という、スピーディーなコミュニケーションができるようになりましたね。
「ワードとエクセルの利用をやめました」
ワード、エクセルなどローカルのソフトウェアを利用していたのですが、「複数の人が同時に作業ができない」「どれが最終版かわかりにくい」「他の人が検索できない」「情報漏えいリスク」といった理由から、これらの利用を原則禁止し、クラウドのみで業務を行うようにしました。
結果、「作業のスピードアップ」「資料へのアクセス性の向上容易」が実現され、業務が効率化しました。
「ダイレクトメッセージをやめました」
1対1のクローズドなやりとりは、他者がアクセスできず、「情報伝達の漏れ」「コミュニケーションスピードの低下」「社内政治の発生」などの副作用があると考えたため、原則禁止としました。
全てオープンなチャットルームでの議論にしたことで、オープンでスピード感のある社風が醸成されました。
SELECKの過去記事からご紹介!編集部が選んだ、各社の「やめたこと」
SELECKでこれまで掲載した記事の中にも、それまでの取り組みを「やめたこと」で生産性を向上させた事例がいくつもあります。
今回はその中から、編集部が厳選した過去記事をご紹介させていただきます!
④「非効率なルーティンワークの放置をやめました」(株式会社アプリボット)
「ルーティン業務(R)を効率化して、生まれた時間で新たなチャレンジ(C)をする」ためのCRという制度を発足させ、例えば、これまで10分かかっていた不具合の検証業務を30秒に効率化させることに成功した事例。
⑤「すぐにやらなくても良いことの後回しをやめました」(株式会社モバイルファクトリー)
後回しにされがちな仕事を進めるために、金曜日は原則ノーアポ・ノーミーティング・ノー残業とする「クリエイティブフライデー」や、月・水・金は、それぞれ1時間、チャットや会話、電話や離席を禁止する「精神と時の部屋タイム」を設けた事例。
⑥「FAX・契約書の送付作業をやめました」(株式会社ウェルクス)
様々な作業をプログラミングによって自動化する「Robostaff(ロボスタッフ)」を利用し、月1,000件のFAX送付作業を圧倒的に効率化しました。また、Web上で契約書を取り交わせる「CloudSign(クラウドサイン)」によって、契約手続きにかかる工数の削減にも成功した事例。
契約社数を増やすためには、訪問数を上げる必要があると考えた結果、「新規訪問、一切禁止!全てオンラインでやる!」という営業スタイルに変えた事例。
⑧「複数ツールでのタスク管理をやめました」(スローガン株式会社)
Googleカレンダー、Evernote、ポストイットへの手書き…など複数の手段でタスク管理をしていた結果、「あれやった?」が飛び交う状況を、タスク管理ツール「Asana(アサナ)」を導入することで解決した事例。
⑨「マイクロマネジメントをやめました」(株式会社フリークアウト)
短期的な売上目標を達成するためのマイクロマネジメントをやめ、「メンバー各個人が興味を持つ分野について徹底的に詳しくなる」という組織作りをすることで、それぞれが専門領域を持つプロフェッショナルな集団を作った事例。
⑩「紙で情報管理するのをやめました」(株式会社石崎電気製作所)
「あの資料が見つからない」という問題の解決のため、紙ベースでの情報管理をやめ、「Evernote(エバーノート)」を導入。紙では難しい「タグ付け」を活用することで、情報共有の生産性を高めた事例。
⑪「開発チームで、誰が何を作るかを決めることをやめました」(株式会社クレイ)
毎朝、メンバーのタスクを個別に割り当てる形での開発マネジメントをやめ、ユーザーストーリーに基づいた優先順位で、手の空いたメンバーが順々にタスクを取っていく方法に変えた事例。
各メンバーが様々な種類の開発タスクを担当するため、開発知識の属人化を防ぐことに成功。
⑫「たくさんの人を巻き込んで、事業開発するのをやめました」(株式会社ドリコム)
多くの意見を取り入れすぎてしまう、コミュニケーションが取りづらい、方向転換がしづらい…といった理由から、多くの人数で事業開発をすることをやめ、「プロデューサー中心」「少数精鋭」で事業開発を行うことにした事例。
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