「働き方改革とは」現場のリアルな事例【14選】IT活用で、残業を減らした事例など
〜「働き方改革」をどう進める?現場のリアルな事例をまとめてご紹介〜
「働き方改革」が叫ばれて久しい日本。
旧態依然とした非効率な働き方をやめることで、仕事の生産性を向上させたいと考えている方は多くいらっしゃるかと思います。
では、実際に何をどのように取り組めば良いのでしょうか?
今回は、SELECKが過去に取材した「700社1,200事例」の中から厳選して、14社の働き方改革の事例を紹介します。(紹介事例は、随時更新する予定です。)
目次
社員の意識改革を進める仕組みを作る
- 「働き方改革」専任チームを発足させる(株式会社クレディセゾン)
- 働き方改革にチャレンジする個々の行動を評価する(株式会社アプリボット)
- 後回しにしがちな仕事に集中する時間を設ける(株式会社モバイルファクトリー)
非効率性を解消する為に、ITツールを活用する
- 社内SNSで「伝言ゲーム」を撲滅!残業を30時間削減(株式会社 第一印刷所)
- ビジネス版Facebookで、意思決定スピードを向上(株式会社 土屋鞄製造所)
- 老舗企業の70代社員にも、ITツールが定着!(株式会社石崎電機製作所)
- 社員の「頭の中」にある情報を、クラウド化で共有(株式会社アールキューブ)
- RPA(業務ロボット)を活用、人間の作業効率を改善(ソフトバンク株式会社)
- ツールをフル活用して、旅をしながら働く(弁護士法人ファースト法律事務所)
重要な仕事に集中する為に、業務をアウトソースする
- クラウドソーシングを活用し、経費と業務工数を削減(株式会社ガイアックス)
場所に囚われず働く為に、リモートワークを導入する
- 目の前にいなくても様子の分かるバーチャルオフィスを作る(株式会社AsMama)
- あえて「すべてを共有する」ことにこだわらない(サイボウズ株式会社)
- IT活用で、リモートで働くバックオフィスチームを実現(Tokyo Otaku Mode Inc.)
社員の健康を促進する社内制度を作る
- やっぱり健康が一番!体調に関心を持てる仕掛けを作る(株式会社キュービック)
社員の意識改革を進める仕組みを作る
1.複数部署からメンバーを集め、「働き方改革」専任チームを発足させる
【参考記事】大企業の「働き方改革」は草の根活動から!「まずはやってみる」クレディセゾンの挑戦(株式会社クレディセゾン)
働き方改革を進める…といっても、実際にどのように進めればよいのだろうか? という疑問もあるのではないでしょうか。特に組織の規模が大きいと、様々な調整が発生し、とても時間がかかってしまいそうです。
そこで同社では、「複数の部署から約10名のメンバーを集める」「社員の生の声を集める」「制度を変えるには時間がかかるので、まずは現行の制度内でミニマムに試してみる」「働き方改革を進めるためのオフィシャルな活動だが、ノルマはなし」という体制で、ボトムアップの働き方改革を進めました。
新しい働き方へのチャレンジを会社主導でやろうとすると、会議にかけて、労働組合にも確認をとって….と、ステップが多く、時間がかかってしまうんですよね。
ですので、現行の制度の中でできることを、まずはミニマムに、やれる範囲でやってみると。
2.働き方改革にチャレンジする個々の行動を会社として評価する
【参考記事】そのルーティンを疑え!職種の壁も越える「しらけない」働き方改革の進め方とは(株式会社アプリボット)
本当は非効率だと分かっているのに、「当たり前化」してしまっているルーティンワークはありませんか?
こちらの記事では「ルーティン業務(R)を効率化して、生まれた時間で新たなチャレンジ(C)をする」ためのCRという制度を発足させた事例を紹介しています。
実際に取り組んだ社員を、全員表彰するという取り込みを行った結果、例えば、それまで10分かかっていた不具合の検証業務を30秒に効率化させることに成功しました。
CRのポイントは、「個」の意識を上げることに着目している点です。「こうすればもっと効率化できそうだ」ということを、1人ひとりが普段の業務で意識できるよう、会社として評価する仕組みを構築していきました。
3.「後回しになりやすい仕事にだけ」集中する、特別な時間を設ける
【参考記事】つい後回しにしがちな「第二領域」にチームで挑む!生産性を本当に上げる組織の作り方(株式会社モバイルファクトリー)
後回しにされがちな仕事を進めるために、金曜日は原則ノーアポ・ノーミーティング・ノー残業とする「クリエイティブフライデー」や、月・水・金は、それぞれ1時間、チャットや会話、電話や離席を禁止する「精神と時の部屋タイム」を設けた事例です。
第二領域の取り組みは、生産性向上に繋がってきます。重要な仕事でも、緊急ではない第二領域の時に手を打っておけば、仕組み化などで工数自体を圧縮できるので。
▼重要度は高いが、緊急度は低い「第二領域」
非効率性を解消する為に、ITツールを活用する
4.チャットツールで社内の「伝言ゲーム」を撲滅。残業を30〜40時間削減
【参考記事】ビジネス版「LINE」で残業を30時間カット!老舗企業における、チャットツールの使い方(株式会社 第一印刷所)
▶登場するツール:LINE WORKS(ラインワークス)
「顧客→営業→製造→印刷→製本→物流」など、いろいろな部署間でのコミュニケーションが発生している企業は多いのではないでしょうか。
同社では、内容によっては、社内の責任者を通さなければならなかったり、FAXを使うようなこともあり、その中で、非効率な「伝言ゲーム」が発生していました。
そんな中、チャットツールの導入によって、不要なやりとりを削減し、残業時間を大幅に改善させた事例です。
おかげで営業も社内に戻ったあとに、社内メールを処理する時間を減らすことができました。製造からも、営業のレスポンスが非常に速くなったと評判は上々です。
5.ビジネス版Facebookを活用し、意思決定スピードの向上に成功
【参考記事】「いいね!」が意思決定スピードを上げる!創業52年、土屋鞄製造所のWorkplace活用術(株式会社 土屋鞄製造所)
▶登場するツール:Workplace by Facebook
何か共有事項があった際、メールだと「確認しました」という返信が必要です。
しかし、同社ではビジネス版Facebook「Workplace」を活用することで、確認や承認とった反応を「いいね!」で示す事が出来るようになり、意思決定がサクサク進むようになったといいます。
Workplaceの良い所は、「いいね!」をすることで「確認しました」「承認しました」といった反応を示すことが出来る点です。メールだと、そういった反応をするために返信をしたり、反応がなければ改めて確認する必要があったりと、少し手間がかかってしまいます。一方でWorkplaceの場合は、投稿に対する「いいね!」を見れば、誰が見たのかが一目瞭然なんですね。
6.老舗企業でITツールを定着させる。70代の社員がEvernoteを使いこなす
【参考記事】創業88年の電機メーカーの「情報改革」武器はEverote、書類・画像・名刺まで一元管理(株式会社石崎電機製作所)
▶登場するツール:Evernote(エバーノート)
ある資料を他の社員に共有する場合、「資料を印刷して封筒に封入」→「受け渡し用の管理票を封筒に貼りつけ」→「受取人はそれを受領したら日時を記入して判子を押す」といった形で、多くの時間を要していた同社。
かなりの情報を紙ベースで原本保管していたので、「あの資料が見つからない」といった問題も多く発生していました。
それらの問題を解決すべく、情報共有ツールを20代から70代までの社員全員に定着させることに成功した事例です。
全社的に使ってもらうために、社員1人ひとりに直接レクチャーを行いました。最初は部署ごとに教えていたのですが、やっぱり大人数相手だと、理解が追いつかない人のフォローが難しんですよ。そこで個別に日程を組み、1人あたり4時間ほどかけて使い方を説明しました。
7.あらゆる情報が社員の頭の中 or 紙に..。全ての情報共有をクラウド化
【参考記事】「確認の繰り返し」をやめる!働き方を効率化する、ウェディング業界のITツール活用法(株式会社アールキューブ)
▶登場するツール:Docbase(ドックベース)
「全く同じ説明を、何度も色々な人に繰り返さなければならない…」「情報が全て紙で管理されていて、欲しいものを探すのが大変」という状況にある方もいらっしゃるのではないでしょうか?それを解決するのが、情報共有ツールです。
こちらの記事では、会費婚サービスを運営する中で、案件ごとにウェディングプランナーに対面で同じ説明を何度も繰り返す必要があった…という課題を、情報共有ツールとチャットツールを活用して、解決した事例を紹介しています。
当初は、大量の紙の資料がファイルにまとめられている状況で。何か情報を探す時は、それを1枚1枚めくって…という感じで、とても非効率的でした。情報がオンラインで共有される仕組みができていなかったので、あらゆる情報が、すべて各個人の頭の中にあるという状況で…。
▼紙ベースでの情報共有からの脱却に成功
8.RPA(業務効率化ロボット)を活用し、人間の作業効率を大きく改善
【参考記事】RPAを活用し、「現場起点」で生産性をUP!ソフトバンクの働き方改革(ソフトバンク株式会社)
▶登場するツール:BizRobo!(ビズロボ)
複数のアプリケーションをまたいだ作業などをロボットに記憶させることのできる「RPA(Robotic Process Automation)」という技術を活用。
会社としてシステムを構築するほどではない小さな業務改善も、ノンプログラミングで現場の社員が実行しているという事例です。
ちょうど今朝も同僚に「社内の各所から必要な情報を抽出する作業を自動化できないか」という相談を受けて、30分ほどでロボットを作ったんです。これにより、その作業にかかっていた工数を18分の1に圧縮することができました。
▼経費の申請額が正しいかをチェックする作業も自動化できる
9.クラウドツールをフル活用して、旅をしながら弁護士業を営む
【参考記事】ITで働き方は本当に変わる? クラウドツールで実現した「場所に囚われない」弁護士業(弁護士法人ファースト法律事務所)
▶登場するツール:「チャットワーク」「MFクラウド会計」「MFクラウド請求書」「Google Apps」「Evernote」
こちらの記事では、世界中を旅しながら約60社の顧問弁護士を務める藤井さんに、ITツールを活用して「コミュニケーション」「会計」「請求書発行」「情報蓄積」「契約管理」をどのように行っているのか? についてインタビューしています。
具体的に私が使っているのは、チャットツールの「チャットワーク」、会計ソフトの「MFクラウド会計」、請求書発行の「MFクラウド請求書」、クラウドグループウェア「Google Apps」、情報蓄積ツール「Evernote」、そしてクラウド契約管理ツール「CloudSign」などです。
重要な仕事に集中する為に、業務をアウトソースする
10.クラウドソーシングを活用し、経費と業務工数を削減
【参考記事】月間100件の業務をアウトソース!よりコアな業務へ集中するためのランサーズ活用術(株式会社ガイアックス)
一人ひとりが業務をアウトソースする権限を持ち、「リストアップ」「ライティング」を外注。
その結果、「顧客への訪問回数の増加」「新規施策の考案」等、より本質的な業務に集中出来る働き方を実現した事例。
私は週に2、3件程度発注しています。弊社の良い所が、5万円以下の支払いであれば、上長の承認がなくても発注できるところです。少額でも稟議を通さないといけないとなるとスピード感が落ちてしまうので、この仕組みがあることでクラウドソーシングと弊社は相性が良いのかなと思います。
場所に囚われず働く為に、リモートワークを導入する
11. 目の前にいなくても様子の分かる「バーチャルオフィス」を作る
【参考記事】非エンジニアでもリモートワークは可能! 全国のメンバーと共に働く仕組みづくりとは(株式会社AsMama)
リモートワークを実践する上で課題となるのが「相手がPCの前にいるかいないかわからない」となってしまう点です。これを解決すべく、同社ではバーチャルオフィス「Remotty(リモティー)」を導入しました。
Remottyはリモートワークに特化したバーチャルオフィスで、ツール上でメンバーと様々なコミュニケーションを取ることができます。ログインしているメンバーの顔を、パソコンのWEBカメラが一定時間毎に撮影し続けて表示するので、「いるかいないかわからない」という問題を解消することができます。
12. あえて「すべてを共有する」ことにこだわらない
【参考記事】「すべてを共有する」必要はない!? サイボウズに学ぶ、リモートワーク成功のカギ(サイボウズ株式会社)
大阪にて新たな開発拠点を立ち上げた同社。当初は、常にカメラを接続して空間を共有する事を重視していましたが、チャットで常に声を掛けられる状態を作れば十分であるという事に気付いたといいます。
また、リモートワークを成功さえる上で肝となるオンライン会議における「ツール選定」「コミュニケーション」の方法についてもお伺いしています。
空間の共有が大事だと妄想していたのですが、実際は必要ありませんでした。チャットでいつでも声をかけられるだけでも十分だということを、これから職場を分散化していきたい人には伝えたいですね。
13.ツールを活用して、リモートで働くバックオフィスチームを実現
【参考記事】リモートワークが前提だからこそ生まれた!「クラウド型」のバックオフィス運営とは(Tokyo Otaku Mode Inc.)
様々なツールを活用して、「契約書の管理」「会計」「給与計算や勤怠管理」「始業時の朝会」まで、全てをクラウド化。
その結果、経理・労務部の4名中3名がリモートワークで働くというチーム体制を実現した事例です。
子育てに専念している間も、「いつかは仕事に復帰したい」とは思っておりましたが、子供がそれぞれに風邪をひいて学校を休んだり、学校行事があったり、夏休みなど長い休みがあるため、毎日出勤して働くイメージが持てなかったのです。
社員の健康を促進する社内制度を作る
14.やっぱり健康が一番!体調に関心を持ってもらう仕掛けを作る
【参考記事】全社員にウェアラブルデバイスを貸与!健康経営を実現する「キッカケ」の作り方とは(株式会社キュービック)
ウェアラブルデバイスを活用して、社員の健康状態を可視化。いくら健康促進のためとはいえ、会社として従業員に何かを強要することは難しい中で、従業員に健康を意識する「キッカケ」を与える仕組みづくりをおこなっている事例です。
弊社では全社員に「Fitbit(フィットビット)」を貸与しています。
Fitbitは、腕に時計のように装着することで、歩行数・心拍数・睡眠の質などを計測できるウェアラブルデバイスです。
最後に
SELECKの過去記事から選んだ「働き方改革【14選】」はいかがでしたでしょうか。
ぜひ、働き方改革を進める上で、ご参考にしていただければと思います。
また、関連のある記事をご紹介させていただきますので、こちらもぜひ、ご覧下さいませ。