人と組織を育てる「フィードバック」とは? 企業での実践事例とツール【計7選】

個人の成長を促すために、他者が対象となる人物の行動に対して、客観的な意見を送る「フィードバック」。

ビジネスシーンにおいては、上司から部下に向けて行うのが一般的ですが、最近では逆に部下から上司にフィードバックを送ったり、会社が社員に対して意見を求めるケースも増えています。

そこで今回は、多様化するフィードバックの在り方について、企業での実践事例をふまえて、ご紹介します。

目次

  1. ビジネスシーンにおけるフィードバックとは
  2. 事例① マネージャーから部下へのフィードバック
  3. 事例② 部下からマネージャーへのフィードバック
  4. 事例③ 社員同士のフィードバック
  5. 事例④ 社員から組織へのフィードバック
  6. フィードバックに活用できるツール【3選】

ビジネスシーンにおけるフィードバックとは

▶︎フィードバックとは何か?

フィードバックは相手の成長を目的に、本人の行動や姿勢に対して良い点を評価したり、改善点についてアドバイスを行うことです。

対面して口頭で行う場合もあれば、テキストベースでコメントしたり、スコアをつけて定量的に評価するケースもあります。

▶︎なぜ重要か?

人が成長するためには、強みを伸ばし、課題点を克服する必要があります。

そして、それらの特徴に対する自己認識と、他者からの印象は異なる場合が多いため、フィードバックを通して、より正確な現状把握と適切な打ち手を考えることができます。

また、個人だけでなく組織の状態を把握するためにも、フィードバックは活用されます。

例えば、「事業戦略が不明確」「意思決定スピードが遅い」などの組織課題があった場合、それを放置し続けると、社員の不満が増幅し、仕事へのコミットメントが低減したり、退職者が増えるリスクを生みます。

そのため、課題を早期に発見して解決していくために、フィードバックが行われる仕組みをいかに組織内に作り上げるか? が、とても重要です。

それでは、実際に企業でどのように運用されているのかについて、SELECKで取材した事例を使ってご紹介していきます。

事例① マネージャーから部下へのフィードバック

【参考記事】上司と部下の「信頼関係」がカギ!MBOの運用を1on1で支える、グリーの目標管理とは(グリー株式会社)

▶︎定期的なフィードバックを継続すべく「1on1」を導入

まず、最も一般的なフィードバックが、マネージャーから部下へ向けて行うものです。

ただ、プレイングマネージャーも増える中で、どうしても十分にコミュニケーションをする時間がとれず、表面的な会話に終わってしまうことも多いのではないでしょうか?

そこで導入する企業が増えているのが、マネージャーとメンバーが定期的に1対1で対話をする「1on1」です。

グリー株式会社では、週1回30分の「1on1」を実施し、上司が部下のチャレンジに対してフィードバックを行っています。

上長が部下に対してチャレンジの機会を与え、それをサポートする仕組みが必要だと考えました。そこで2015年に導入した制度が、「1on1」です。(中略)MBOによる目標管理に加え、1on1での定期的な振り返りを行うことで、個人と組織の成長が促進されています。

▼「1on1」で話すトピック

対面でフィードバックは半年に1回の評価面談だけ…とするのではなく、より短いサイクルでのフィードバックを定着させる仕組みとして、1on1が注目されています。

事例② 部下からマネージャーへのフィードバック

【参考記事】上司・人事の承認ナシで異動OK!3ヶ月で20人超が利用した新人事制度・シェイクハンズ(株式会社ディー・エヌ・エー)

▶︎マネージャー要件の実践度合いについて、部下がフィードバックを送る

また、部下にフィードバックするマネージャー自身のスキルを向上させるために、部下からマネージャーへのフィードバックを実施する場合もあります。

株式会社ディー・エヌ・エーでは、5つのマネージャー要件の実践度合いについて、コメント付きの6段階フィードバックを実施しています。

人材の能力を活かすためには、近くにいるマネージャーが部下の伸びしろを引き上げられることが重要です。そのため、今年の7月から全社約130名のマネージャー向けに、360度フィードバックを始めました。

▼実際のフィードバックシート(画像を拡大して見る

例えば、「プレイングばかりしていて、あまり見てくれない」「忙しいのは分かるが、背景説明が足りない」「個人の力量や思いを理解できているのか」といった声が上がったりします。

そして、1人ひとりがテキストベースでフィードバックを送った後は、部下を集めて対面で改善策について話し合っています。

この結果を踏まえて、マネージャーが部下を集めたディスカッションを行い、課題点や改善策の認識を合わせたりしています。中には、改善のコミットメントを宣言しているマネージャーもいますね。

このように、複数人を巻き込んだオープンなフィードバックを行うことは、求められる行動規範の認識をチームで深める良い機会にもなります。

事例③ 社員同士のフィードバック

【参考記事】賞賛と評価の可視化がカギ!マネジメント層を成長させる「人が辞めない」組織作りとは(Fringe81株式会社)

さらに、役職関係なしに社員同士でフィードバックを送り合っている事例もあります。

▶︎目に見えづらい「良い仕事」を賞賛し合う文化を作る

Fringe81株式会社では、「営業と比べて数字で成果を測りづらいエンジニアが、社内で賞賛されづらい」という課題を抱えていました。

そこで普段は目に見えづらい「良い仕事」を賞賛するMVP制度を導入しました。

目立ちにくいエンジニアの良い仕事をちゃんと発見してあげよう、という意図があり、「発見大賞」という他薦のMVP制度を作りました。

例えば「◯◯さんがバグをこっそり潰してました!やばい!」といった形で、従業員に「もっと知ってほしい、素晴らしい仕事した人」を選んでもらい、月に1度、全従業員の前で表彰する仕組みです。

▶︎ピアボーナスを導入して、気軽に成果給を送り合う

また、この賞賛文化を促進すべく、「Amazonギフト券と交換できるポイントを送る」という形で、成果給を送る仕組みも導入しています。

さらに今度は、「評価」を可視化するために、ピアボーナス(成果給)の仕組みを2016年7月から導入しました。

具体的には、従業員が互いにポイントを送り合えるシンプルなシステムを構築し、一定数のポイントを貯めたら、Amazonギフト券と交換できる仕組みを作ったんです。

フィードバックというと「改善点に対して指摘をする」という印象が強いかと思います。

ただ、このようにポジティブなフィードバックが日常的に送り合われる文化を作り、社員がイキイキと働ける会社を作ろうとする取り組みが広まっています。

事例④ 社員から組織へのフィードバック

【参考記事】メルカリをコピーするだけではダメ。設立9ヶ月で200名を超えた、メルペイの組織づくり(株式会社メルペイ)

そして、1対1のフィードバックだけではなく、社員から組織へのフィードバックを集める企業も増えています。

▶︎社員へのアンケートを実施し、組織状態を定量化

株式会社メルペイでは、「組織の戦略を理解していますか」などの10の質問に10点満点で回答するサーベイを実施しています。

メルペイでは独自の「組織スコアリング」を行っています。これは、組織の状態を社員へのアンケートによってスコアリングし、可視化するものです。(中略)具体的には、10個の質問があり、それぞれに10点満点で回答するようになっています。

▶︎課題に対する改善アクションを、経営陣が約束

そして、その結果は全社公開され、且つ、経営陣が改善アクションを約束することで「経営が組織づくりに本気でコミットしている」という姿勢を、全社に伝えています。

この組織スコアリングに関しては、毎月集計した数字を全社公開しています。その際には代表の青柳であったり、経営陣であったりがみんなの前に立って、課題意識がどこにあるのか、その改善のために誰が何をするのか、というアクションまでを約束しています。

このように、人の成長だけでなく、組織課題の発見と改善のためにも、フィードバックは活用されています。

この社員や組織に関する「データ」を収集・分析し、組織づくりに生かす組織開発の手法は、ピープルアナリティクスと呼ばれ、注目されています。

それでは最後に、これらのフィードバックを実施する際に活用できるツールをご紹介します。

フィードバックに活用できるツール【3選】

Small Improvements(1on1用ツール)

Small Improvements」は、マネージャーから部下へのフィードバック事例で紹介した「1on1」を実施する際に活用できるツールです。

1on1で「何を話そうか…」となってしまわないよう、アジェンダを事前に共有したり、話し合った内容をメモに残すことができます。

また、「誰と誰が何回1on1を実施したか?」という1on1の実施状況を一覧することも可能です。

GLINT(組織サーベイ用ツール)

GLINT」は、社員へのアンケートを通して、組織状態を可視化するツールです。

「あたなは仕事をしていて、どれくらい幸せですか?」などの質問の回答から、各社員の状態を数値化して、組織の課題点を把握することができます。

▼社員1人ひとりの状態を、スコアで一覧できる

HeyTaco!(ピアボーナス用ツール)

【参考記事】「タコスの送り合い」で組織改革!?気軽にピアボーナスが導入できる「HeyTaco!」とは

HeyTaco!」は、Fringe81株式会社の事例で紹介したピアボーナスを、チャットツール「Slack」にて運用できるサービスです。

誰かに向けて、タコスの絵文字付きで賞賛のコメントを送り合うことで、気軽にピアボーナスを導入することができます。

▼タコスの絵文字を付けて、賞賛のコメントを送る



「チームのパフォーマンスを最大化したい」と思うあなたへ

当媒体SELECKでは、これまで600社以上の課題解決の事例を発信してきました。

その取材を通して、自律的な成長を促す「伴走型のマネジメント」が、組織づくりにおいて重要であるという傾向を発見しました。

そこで開発したのが、1on1の運用と改善で、メンバーの内省を促進し、パフォーマンスを最大化するツール「Wistant(ウィスタント)」です。

進化したマネジメントを体験したい方は、ぜひ、チェックしてみてください。