- コラボレーター
- SELECK編集部
- 舟迫 鈴
【SELECK3周年】編集部が選ぶ!2018年「コレが来てる」ビジネストレンド集【10選】
SELECK編集長の舟迫(ふなば)です。
本日2018年5月25日をもちまして、「SELECK」はリリースから3周年を迎え、累計の記事数は1,200記事・掲載企業数も500社を突破しました。
3年…!!! 読者の皆さま、取材先の皆さま、そして私たちの周りにいるすべての方々、本当にありがとうございます!
この3年でWebメディア界隈もかなり変わったなぁと思うのですが、その中でSELECKの特徴として、掲載ジャンルの幅の広さがあるのかなと思っています。
社内の業務改善から、マーケティング、エンジニアリング、カスタマーサポートまで。「すべてのビジネスパーソンの方」に参考となる情報を届けるべく、敢えてカテゴリーを絞ることなく運営して参りました。
そこで本日は3周年企画として、「編集部が選ぶ!今『コレが来てる』ビジネストレンド集」をお届けいたします。
ものすごく尖ったものというより、今、ビジネスの現場で実際に「みんなやってるわー」とリアルに感じるワードを取り上げています。
ぜひご覧くださいませ。
【本日紹介する「ビジネストレンドワード」】
- 1on1(1on1ミーティング)
- OKR
- VP of Engineering
- ピープルアナリティクス
- ティール組織
- RPA
- AIチャットbot
- カスタマーサクセス
- コミュニティマーケティング
- マインドフルネス
上記で紹介したテーマに関しては、今後も新しい記事をどんどんお届けしていく予定です!
引き続きSELECKを、どうぞ宜しくお願い致します。
===
ちなみに、1周年のときの記事はこちら
2周年のときはこちら
マネージャーと部下のコミュニケーションを強化する【1on1】
「1on1」、もしくは「1on1ミーティング」は、上司(マネージャー)と部下が1対1で、定期的にミーティングを行うというものです。
以前はこのようなミーティングは「個人面談」と呼ばれ、どちらかというと形式に沿った堅苦しいもの、というイメージが強かったかと思います。
ですが、1on1はどちらかというと、よりカジュアルな対話の機会です。
評価や査定という形ではない面談の機会を持つことで、人材の育成やコミュニケーションの活性化という観点から、大きな効果が期待できます。
数年前まで、1on1を取り入れている企業はそう多くはない印象だったのですが、今は「みんなやってる!」という状態になりつつあると感じています。
1on1を実施している企業として、有名なのはヤフー株式会社です。
(1on1は)2012年から始めた取り組みで、一週間に1回、上長と部下が30分話す、というものです。
今はもう制度というより、みんな当たり前にやっていますね。それこそ、違う部門のリーダー同士で1on1をする企画があったり、違う組織同士でも行われていたります。
1on1で話す内容の基本は仕事の振り返りによる内省ですが、進めている仕事の相談や進捗の確認であったり、プライベートの悩みであったり、様々です。
これがあることで、「登る山」を常に上司と握り合っている状態ができます。
例えばグリー株式会社では、1on1で目標に対しての定期的な振り返りを行うことで、個人の成長と組織目標の達成を実現しています。
▼同社の「目標管理シート」
人事本部では、1on1に関するアンケート調査を、年1回のペースで実施しています。直近の調査では、社員の7割が「満足」という回答でした。
また、1on1を通じて「上司への信頼感が高まった」「自分のことを理解してもらえる機会ができてよかった」といった声もあり、総じて良い反応を得られています。
個人と組織の目標を連動させる【OKR】
目標設定で言うと、この1〜2年で爆発的に拡大したなと感じるのが「OKR」です。
詳細はこちらの記事でもご紹介していますが、OKRとは、「Objectives and Key Results」の略語です。
OKRでは、まず目標(Objectives)を決め、その達成のために必要な要素を3〜4の成果指標(Key Results)に分解し、進捗をトラッキングします。
会社のOKRに対して、各チームと個人のOKRを同様に設定するため、「会社の目標と個人の目標がリンクする」ことが、OKRの最大の特徴です。
株式会社ココナラでは、OKRを利用して「個人目標が達成されれば、自然と全社目標も達成される」という状態を作り、かつ、人事評価の納得感を醸成することに成功しています。
一般的にOKRはボトムアップで設定されるものかと思うのですが、弊社では全て経営陣によるトップダウンで決定しています。
全社目標を達成するために必要な戦略は、部門ごと、人ごとに分解できるはずですよね。それをOKRで設定して、メンバー全員が達成したら、全社目標も自然と達成されるという筋道を立てることは、経営陣の責任だと思うんです。
メンバーからすると、めちゃくちゃ仕事を頑張っても全社目標と関係がなく、貢献できているのか、評価されるのかが分からないと辛いじゃないですか。
また株式会社AbemaTVの開発局では、各メンバーのパフォーマンスを最大化するために、OKRを導入して全員の目標をオープン化しました。
難易度が高くてもやりがいを感じられるミッションを作り続けていくことが、みんなのモチベーションを保つためには大事だと思うんです。
少なくとも今のAbemaTVにおいては、技術で解決しなければならない課題がいくつもあるので、それをしっかりとみんなに提示していくことが大切です。
そのために、OKRをひとつの手段として使っているという形ですね。
エンジニア組織でも「役割分担」が加速【VP of Engineering】
エンジニアの組織づくりと言うことですと、近年、「役割を分担する」傾向が高まってきていると感じています。
その中で最近増えているのが、「VP of Engineering」(以下、VPoE)という役割です。
詳しくはこちらの記事で解説していますが、VPoEは、実質、エンジニア組織のトップとして、マネジメントを担う存在です。
CTOが技術的に正しいアプローチを追求する一方で、、VPoEは「チームを正しい状態に導く」ことがそのミッションであると言えます。
スマートニュース株式会社では、今後の組織拡大を見据え、2017年10月1日にエンジニア組織のマネジメント責任者としてVPoEを選出しています。
エンジニアチームと言っても、20名くらいまではマネジメントの必要性は高くないと思うんですよね。
ただ、3桁を超えてくると、全てをCTOが見ることも不可能になりますし、誰が何をやっているのかをしっかり把握する人が必要になります。
(中略)サービス開発に関わる諸々をしっかり管理して、スピード感を高めていくことも、VPoEのミッションのひとつですね。
人事もデータで戦う時代【ピープルアナリティクス】
組織づくり全般に関して言えば、欧米でここ数年トレンドである「ピープルアナリティクス」が日本でも徐々に拡大してきています。
ピープルアナリティクスとは、従業員に関する様々な「データ」を収集・分析し、組織づくりに生かす手法です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Google、Facebook、AirbnbなどではPeople Analytics専門の人材採用も積極的に行っています。
例えば、組織や仕事に対する従業員の満足度・愛着度である「エンゲージメント」を測定することで、組織の課題を特定することもピープルアナリティクスです。
株式会社ディー・エヌ・エーでは、2015年より「キャリアマネジメントアンケート」を導入し、社員の状況を漏れなく把握するための定点観測を行っています。
今年の8月でいうと、「やりがいを感じている」人が71%で、「能力を活用できている」人が84%です。
この数字をどう捉えているかというと、我々としては、まだ伸びしろがあると思っていて。「時折やりがいを感じている」人が21%いるのですが、「時折しか感じない人がこんなにいるのか…」という感じなんですよね。
個人ベースですと、もともとは点数が高かったのに、だんだん下がってきて最終的には回答しなくなる、というのが一番危ないパターンです。
また、株式会社サイバーエージェントでは、社員へのアンケートを通じて、組織の「適材適所」を実現するためのデータ分析を行っています。
GEPPO(自社開発のツール)を使って、全社員2,000人強に月1回のアンケートを実施しています。
その時々にあわせて必要な質問をしていますが、必須項目として毎回用意しているのが、その月の自己評価を「快晴・晴れ・曇り・雨・大雨」で回答する項目です。この部分に関しては、回答率は9割を超えています。
(中略)データを集めて「検証」を行うことで「改善」をする動きが始まっています。人事や採用でPDCAを回すことに役立てるようになってきているんです。
目的のために進化を続けるひとつの生命体【ティール組織】
組織まわりで言うと、最近のバズワードは何と言っても「ティール組織」ですね。
こちらの記事で解説していますが、その代表例はオランダの非営利在宅ケア組織・Buurtzorg(ビュートゾルフ)です。
ティール組織には指示系統がなく、各々が自分たちのルールや仕組みを理解しながら意思決定をしていきます。
まだ日本だと、「完璧なティール組織」というものは私が知る限り存在しないのですが、部分的にその思想を取り入れる企業は増えてきていると感じます。
例えば株式会社ISAOでは、社内の階層と管理職を廃止した「バリ(=超)フラット」という名の新しい組織運営を行っています。
バリフラットでは、従来の組織のような「部署」が存在しません。その代わりに、経営、人事、広報からゲームサポートなどの各事業まで、全てが「プロジェクト」の形で、同列に並んでいます。
現在、全社で60〜70ほどのプロジェクトが存在し、各人は複数のプロジェクトに参加することが可能です。プロジェクト毎に信任で決まったリーダーが存在し、その人が全ての責任を負っています。
(中略)(各プロジェクトの)工数や経費の管理は、社内のシステム上で全て可視化しています。誰が何に対し、どれだけの時間やお金を使っているかが見えるため、ルールで縛らなくても、自然と全体最適化されていきますね。
ルーティン業務はロボットによる自動化が当たり前【RPA】
さて、ここからは組織やマネジメントの話からは離れて、実務シーンでのトレンドを紹介していきます。
まずはなんと言ってもこれ、「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」です。これはもう、ここ数年でめちゃくちゃ実用化が進んだことを実感しています。IT・非IT問わず、拡大していますね。
詳しくはこちらの記事で解説しております!
RPAを用いると、人間に代わりロボットがルーティンワークを処理することで、作業を自動化することができます。
例えば株式会社リクルートテクノロジーズでは、RPAの導入によって「人の判断がいらない」作業を自動化し、年間およそ8,500時間の業務時間を削減することに成功しています。
いわゆる「経理あるある」で、「大事だけど皆ずっとはやりたくない業務」ってあるんですね。例えばBSの借方・貸方の残高消込作業もそのひとつかなと思うのですが、現在はその判定をロボットがやっています。
以前は月次の締めを行うタイミングで、この作業にヒーヒー言っていたんですよ。ところが今は帰宅する前にボタン1個押しておいて、翌朝来たら判定が終わっています。
またサントリーグループでは、40体のロボットが4台のパソコン上でフル稼働し、日々の売上共有のためのメール作成や、データの収集・加工などを行っているそうです。
自分が1日に30分かけていた仕事が朝来たら出来上がっている…という形なので、やはりRPA導入の効果はわかりやすいですよね。
社員からも、「出張時でも朝一にやらなければならなかった作業がなくなって助かる」と言った声をいただいています。こういう風に言ってもらえると、個人的にも非常にやりがいを感じますね。
ただのチャットbotではなく、自ら「考える」【AIチャットbot】
自動化・効率化の領域で言うと、「チャットbot」もひとつ大きなトレンドとしてあるのかなと思います。
ただ最近は、ただのチャットbotではなく、AIを搭載することによって「自ら学ぶ」ことができるチャットbotが台頭してきています。
「CASH」を運営する株式会社バンクでは、回答に対する「確信度」を自己申告するAIチャットbotツールを導入することで、カスタマーサポートの効率化を図っています。
人かbotのどちらが対応するかについては、特定の言葉が含まれているかであったり、botの申告する「確信度」をもとに判断しています。
この確信度は、チャットbotが「正しく答える自信があるかどうか」で0〜100%の数値で示されます。
例えば、「〇〇の場合、代金はいつ振り込まれますか?」といったシンプルな質問に対しては「確信度90%」であったり、逆に個人情報や現在の集配状況といった定型でない質問に対しては「確信度20%」といった形です。
もはや「サポート」では足りない【カスタマーサクセス】
カスタマーサポートでいうと、近年はその役割を「単なるサポートではなく、顧客の成功まで伴走する」ものとして、「カスタマーサクセス」と呼ぶ考え方が広がってきているかと思います。
もはやこの「カスタマーサクセス」というワードは完全に市民権を得ている状態なので、最近ではその業務を体系化する動きが各社で強くなってきていると感じます。
例えばSansan株式会社では、40人のカスタマーサクセスを5チームに分解。「契約規模」と「導入フェーズ」の2軸で顧客をセグメントし、チームごとに支援を行っています。
更に、チャーン(解約)を防ぐために、顧客ごとの活用度を3つの項目でスコアリングし、状態の見極めを行っています。
私は、カスタマーサクセスはサッカーの「ボランチ」のような存在だと考えています。守備的ミッドフィルダーとして、チームの黒子となり常にハンドルを握っている役割です。
例えば、お客様が抱える課題解決にむけて、ユーザーの声をエンジニアに伝えてプロダクトを改善したり、活用の拡大支援を行うことで、売上のアップに貢献することも求められます。
オンラインの限界を超える、【コミュニティマーケティング】
このようにカスタマーサクセスの領域では「スコアリング」の概念が広まっていますが、逆にその存在感が薄れてきているのが、マーケティングの領域です。
一時はマーケティングオートメーション(MA)の盛り上がりに伴って、顧客の状態をスコアリングし、それに応じたアクションを自動化することがマーケティングのトレンドでした。
しかし、MAがある程度当たり前の存在となった今、マーケティングは1人ひとりに向けた「定性的なパーソナライズ」「より強いつながりや結びつき」を重視する方向に向かっていると感じています。
その中で、オフライン施策の重要性も高まってきています。例えばその手法のひとつが、「コミュニティマーケティング」です。
コミュニティマーケティングとは、サービスをフェアに評価できるユーザー同士が「コミュニティ」を運営し、その内部で信頼度の高い口コミが広まる結果、ユーザーが増えていくという考え方だ。
株式会社ヌーラボでは、コミュニティ「JBUG(Japan Backlog User Group)」を立ち上げ、セールスや広告投資なしでも「ユーザーがユーザーを呼ぶ」仕組みを作ることに成功しています。
従来のマスマーケティングは、大きな池に向かって、企業が打ち出したいメッセージを一方的に発信するものでした。
ただ、時代の変化で、消費者は今や自ら情報を得られるようになり、企業が思うように情報をコントロールしづらくなっています。そんな中で、注目されているのがコミュニティマーケティングです。
中長期的に続けないと意味がない手法なので「1回やりました。集客何人で、そこから何人が新規登録してくれました」みたいな話じゃないんです。
すぐに成果がでないので、数字を追っていると、心が折れてしまうと思うんですね。
なので、私はピュアに「プロジェクト管理って、仕事の生産性を高めて、みんなをハッピーにするよね」ということを、ユーザーさんと一緒に広めていきたいという気持ちで運営しています。
ビジネスマンのパフォーマンスを向上させる「マインドフルネス」
最後に紹介するのが、自分の「ありのままの状態」を認識するための方法として知られる瞑想法「マインドフルネス」です。
詳しくはこちらの記事で解説していますが、最近では多くの企業が生産性向上や、リーダーシップの向上を目的とし、研修として取り入れています。
その中でも最も有名なのは、Googleが2007年に開発したマインドフルネスプログラム「Search Inside Yourself(以下、SIY)」ですが、こちらを日本企業として初めて導入したのが、Sansan株式会社です。
マインドフルネスって、とっつきにくいと感じて敬遠しがちな人もいるかと思うのですが、特に中間管理職の方には、ぜひやってみてほしいんですよね。
(中略)人って、怒られたり、悲しい映画を見たりすると、自然と感情的に反応するじゃないですか。それってもう「トリガー」みたいな感じで、自分で自分の感情の主導権を握っていない状態なんですよね。
(しかし、マインドフルネスを実践すると)トレーニングを行うことで、脳をジャックされることなく、自分で自分の感情をコントロールできるようになると。
最後に、「目標達成するチームを作りたい」と思うあなたへ
今回は、SELECK編集部が選ぶ、今「コレが来てる」ビジネストレンドをご紹介いたしました。
多くの人の参考になれば幸いです!
さて、当媒体SELECKでは、これまで500社以上の課題解決の事例を発信してきました。
その取材を通して、目標を達成し続けるチームは「振り返りからの改善が習慣化している」という傾向を発見しました。
そこで「振り返りからの改善」をbotがサポートする「Wistant(ウィスタント)」というツールを開発しました。
「目標達成するチーム」を作りたいとお考えの経営者・マネージャーの方は、ぜひ、チェックしてみてください。